ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 生ける屍 ( No.77 )
- 日時: 2010/10/01 20:32
- 名前: メルー (ID: FQc4ogfY)
【第20話】
半田は他の拾った石で俺達の居る場所の真下に近いガラスを割ってから、俺達を見上げる。
「……」
「!!」
その時の半田の顔は言葉通りの 満面 の笑みだった。
俺は寒気がするのと同時に、さっきから持っていた怒りが倍以上になるのも感じた。
「今すぐ殺しに行ってやる!」
俺がハシゴから降りようとハシゴに手を掛けると、その上に由美が手を重ねる。
「もう……無理よ…」
「……クソッ!!」
俺はハシゴから手を離す。
俺達の希望だったハシゴの周りには今 アイツ等が徐々に集まり始めていた。
半田がガラスを割ったせいだ。
「アイツ等……ハシゴを登れるのか?」
工藤が由美に尋ねる。
「予想だけど…塀が越えれないなら、恐らくハシゴも無理だと思うわ。」
「そうか……でも、これでハシゴは使えなくなったな。」
「えぇ……今すぐに新しい作戦を考えないと…」
由美の言葉の返事は、
「新しい作戦?どういう意味だ?」
アイツ等を倒す為に出払っていた如月先輩からだった。
「?あの教師が見えないようだが?」
後ろに続く南瀬先輩も疑問を尋ねる。
「……実は——」
由美が状況が変わってしまった原因を先輩達に説明する。
「つまり……あの教師が私達を見捨てた…という訳か?」
由美の説明が終わった後、まず南瀬先輩が確認する。
「はい……そういうことです。」
由美も認める。
「……ふぅ〜」
南瀬先輩のため息だ。
「俺は別に驚かないな。最初からアイツを信用してなかったから。」
如月先輩が言う。
だけど 目から感じる 怒り は相当の物だ。
「影璃……」
「……」
そんな 如月先輩を南瀬先輩が窘(たしな)める。
「それで……これから私達はどうするんだ?」
南瀬先輩が由美に尋ねる。
「ハシゴが駄目になっちゃったから、後は……ここ(職員室)に残るか……普通に脱出するか…のどっちか。」
由美の言葉を聞いて、南瀬先輩が答えるより早く俺が口を挟む。
「俺はここから出る。」
「真……」
龍宮が呼ぶが、俺は気に留めずに喋り続ける。
「ここに残ったって何も変わらないんだ。だったら、外に出てみれば…何か……何か変わるかもしれないだろ?」
「…だけど、それは……」
由美が言いたいことを俺は理解する。
「危ないのは分かるよ。だけど…俺は状況を変えてみたいんだ。だから、俺は……一人でも行く。」
「……でも」
「一人ではないよ。」
由美の言葉を南瀬先輩が遮った。