ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 生ける屍 ( No.85 )
日時: 2010/10/01 21:44
名前: メルー (ID: FQc4ogfY)

【第二十一話】

「私もここに留まる気は無いよ。」

南瀬先輩が小さな笑いを浮かべながら、俺を見て言う。

「委員長が行くなら俺もついて行く。」

如月先輩も俺に同意する。

「本気ですか?」

俺は思わず南瀬先輩に聞き返す。

「一度言った事は絶対だからね。私はここから出るよ。」

南瀬先輩の自信のある顔を見ていると、何だか全てが上手く行くような気がする。

俺は先輩に見惚(みと)れていた。

すると、

「真っ!」

「な、何だよ?!」

龍宮が今度は俺と先輩の間に身を挟む。

「私も行くわ!」

「は?」

「だから、私もアンタについて行くの!分かった?!」

「あ、あぁ、分かったよ。」

俺は一人で勝手に怒っている龍宮から目を逸らし、工藤を見る。

「俺は最初からお前について行く気だったぜ?」

俺の予想に反して工藤は笑いながら言う。

「本気か?」

「本気だよ。それに、さっき言っただろう?」

「さっき?何を?」

「屋上で、学校から出れたらお礼を言うって。」

「あぁ……そういえば言ってたな。」

「だから、俺は最初から学校を出る予定だったさ。お前とな。」

「分かったよ。」

俺は工藤の考えに納得して、今度は由美を見る。

「由美はどうする?」

「…私もついて行くわよ。」

由美はため息交じりに返事を返した。

「それは、心強いな。」

俺が本音を言うと由美は、

「な、な、何言ってんのよ?!」

「だって 由美は頭が良いみたいだから、一緒にいれば色々と助けてくれる気がするんだよ。」

「褒めても何も無いわよ!」

「は?」

「何でも無い!」

「?」

俺は由美の対応を不思議に思いながらも、最後に沖野を見る。

「沖野は」

「僕も行くよ!」

沖野は俺の言葉を遮って言った。

「僕が行かなきゃ車は動かせないし、僕は一人でここに残りたくはないよ。」

「あぁ。沖野には感謝してるよ。ところで、運転も出来るのか?」

「運転?」

「そう、運転。本当は大人である半田にやってもらう予定だったけど、その半田が逃げちまったから誰かが運転しなきゃいけないんだ。」

「う〜ん……日本車なら多分出来るよ。」

「ますます ありがたいな。頼むよ。」

「う、うん!」

「じゃぁ、これで全員の意思は決まった。俺達はこれから 普通 に校舎から出て、沖野の運転する車で校門を突破し……学校から脱出する!」

俺の言葉に全員が頷き、チームとしての団結が出来始めていた。