ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 生ける屍 ( No.94 )
日時: 2010/10/03 12:01
名前: メルー (ID: hFRVdxb.)

【第22話】

「先頭は南瀬先輩と如月先輩に任せても良いですか?」

俺は風紀委員の二人を見て言う。

当然 引き受けてもらえると思っていたが、返事は意外だった。

「いいや……私達は先頭には立たないよ。」

「え?」

「私と影璃が立つより……君が立った方が相応(ふさわ)しいだろう。」

「俺が?そんな……俺なんかじゃ…何も出来ませんよ。」

「そうかな?私にはここにいる全員が 君 を中心に動いていたように見えたけど?」

「そんな訳無いですよ!俺は……自分の事しか考えてないですよ。」

「そう自分を卑下する事はないよ。少なくとも私には そう 見えたってだけだよ。気になるなら他のみんなに聞いてみるかい?」

「……」

俺は本当にそんな立派に見えたのか?

実際に言ったりはしなかったが そう言われると気になってしまう。

「影璃にはどう見えた?」

「同じです。集団の中心にいる様に見えました。」

「沙田さんはどうかな?」

「そう見えました。」

「沖野君は?」

「勝手にリーダーだと決めてました。」

「工藤君と龍宮さんは?」

「最初からリーダーです。」

「当然 真は 私 のリーダーよ。」

「どうかな?これでもまだ心配かい?」

「いいえ……もう十分です。」

「それなら 君 が先頭で決定だね。」

「……」

本当にみんな そう思ってるのか?

空気を読んで言葉合わせてるだけじゃないのか?

俺は意見を聞く前より心配になってしまった。

「大丈夫だよ。」

そんな 俺の顔を見て南瀬先輩は微笑みながら言う。

「後ろには私と影璃がつく。だから、君は後ろの心配はしないで、私達を導く事だけを考えれば良いのだよ。」

「……はい。」

「さぁ、私達のリーダー。指揮を頼むよ。」

「……俺と工藤は先頭に、南瀬先輩と如月先輩は後ろへ。由美と龍宮と沖野はその間に。この隊形で車まで向かう。」

みんなが再び頷く。

そして、俺達 七人は 倒れたままの本多先輩の死体をそのままに職員室を出た。