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Re: 『━X━ WORLD』 2話UP♪ ( No.4 )
日時: 2010/09/05 18:04
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

2話【製薬会社‘ライフ’】

「ぐっ・・・・」

目が覚めたきっかけは、何者かの呼びかけだった。
「起きて。頭は治療したから大丈夫。」
優太の目の前には、制服を着た1人の女子が立っていた。
何が起こったか未だに分からず、とりあえず優太はその場から立ちあがった。
床は大理石、壁は白一色。窓からは太陽の日差しが入り込み、大理石に反射して目が眩む。
「ここは・・・てか、あんたは・・・・」
「ん?私は桃崎晴香。あ!!来た。」
晴香の言葉で、部屋のドアが開く。
優太が振り向くと、そこには城野竜二郎が笑顔で立っていた。
「やぁ、こんにちは。天宮優太君。超能力者として、明日からここで働いてもらうよ。」
「え・・・?」
優太は突然現れた城野の言葉に、思わず顔がキョトンとなり言葉を失った。
「両親が死んだ理由、真相を一刻も早く知りたいのだろう?」
「な!?どうして知ってんだ!?」
「君のことは全て知っている。10年前の事件で両親が死亡。今まで孤独の中を生きてきた。」
「・・・・・・・」
優太は城野の言葉で、10年間の記憶を辿る。
両親が死に、孤児院で中学時代を過ごし、他の人とは違う人生を送ってきた。
「それに、君は超能力者だ。自分で分かっているだろう?人間以上の力を持っていることに。」
優太は次々に的確なことを言われ、その度に過去の出来事が蘇る。
優太の「増強」という超能力は、色々な所で役に立っていた。
運動会ではいつも人気者、体育祭では先輩たちを退くほどの足の速さで300m走を走った。
運動神経が良いことから、男女問わず友達も多かったが、反面、人気者の優太を嫌う人間もいた。
「働くかね?ここには、君と同じ境遇を辿った仲間がいる。超能力者もいる。」

「・・・・分かった。働かせてくれ。」

優太のその答えに、城野と晴香は顔を合わせる。
城野は優太の前まで来ると、肩にポンと手を置く。
「今日から、製薬会社ライフの社員として働きなさい。」
「製薬・・・・会社?」
「表向きは製薬会社。だけど、複数の社員は超能力者の安全確保、警察と同じ仕事よ。」
優太は晴香のその言葉に、目を輝かせた。
自身の夢である警察に一歩近づけたような気がする。
だが、優太に1つの疑問が思い浮かんだ。
「学校は・・・どうすれば?」

「君は失踪という形で、この社会から離脱してもらう。」

「はい!?」
優太はドラマや映画で聞くような言葉を聞き、表情が唖然とする。
「友人のことは諦めなさい・・・。」
「それに、あなたにとっても失踪という形が一番丸く収まるの。」
晴香と城野は悲しそうな顔をする。
だが、優太には1つの決心がついた。

真実を知るには、多少の犠牲もしょうがない。

両親が死んだ本当の理由を知るために_______



社会から離脱する_______