ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 『JUSTICE』 1話更新 ( No.3 )
- 日時: 2010/09/08 20:11
- 名前: 闇色メロディー (ID: U3CBWc3a)
【02】
刑事部で待つこと約1時間。
連太郎は自身のデスクを見つけ、手帳、拳銃等の手入れをしていた。
あれから出て行った奈々も帰ってこず、連太郎はため息をつきながらふと、窓の外を見る。
雲ひとつない青い空、この日の東京は珍しく快晴であり、空には飛行機が見える。
「おっ!新人か?」
ドアが開く音と同時に、3人の男性が刑事部に入ってきた。
連太郎は席から素早く立ちあがると、3人の刑事に向かって一礼する。
「配属された境連太郎です!!よろしくお願いします!!」
「おう!お前が境か・・・。俺は山本忠信、よろしくな相棒。」
山本は手に持っていた資料を連太郎の真向かいのデスクに置き、連太郎と握手を交わす。
山本の後ろから、眼鏡をかけたインテリ刑事と体つきの良い刑事が出てくる。
「私は藍田聖。よろしく、境君。」
「俺は小野谷郷輔、よろしくな!!!!」
小野谷は大きな手で力強く連太郎の背中を叩く。その痛さは尋常ではない。
「っと・・・自己紹介はまたあとな。事件が起こった。世田谷区で殺人事件だ。俺と境で行く。」
「は、はい!!!」
連太郎はいきなりの事件に目が輝く。
「それじゃあ、私と小野谷は例の事件を捜査しておきます。」
「頼む、行くぞ境!!」
山本の相棒となった境は、事件が起こった世田谷区へ急いだのだった。
世田谷区
閑静な住宅街は、1つの殺人事件で大騒ぎとなっていた。
事件の起きた青い屋根で2階建ての家は、KEEP OUTと書かれた黄色のテープで囲まれている。
そのテープを潜り、山本と連太郎は現場に入った。
「鑑識、被害者の身元は?」
「岩瀬知男51歳。セブン・ゲームという会社に勤めている社員です。」
鑑識の言葉に、山本は首を傾げながら復唱する。
「セブン・ゲーム・・・・?」
「人気ゲームを売り出してる有名な会社です。そういえば、最近お金のことで事件あってたような・・」
連太郎の言葉で、山本は手帳を取り出しメモを始める。
「死因と死亡推定時刻は?」
「死因は刺殺。心臓を前から一突きですね、死亡してから1時間も経ってません。」
「・・・・近所に聞き込みだな。よし、分かったことがあったら連絡を頼む。」
山本は手帳に聞いたことを書くと、テープを越えてパトカーに向かう。
連太郎も後を追い、野次馬を掻き分けてパトカーに乗った。
「会社にも聞き行きますか?」
「いや・・・・。これは殺人課に任せよう。俺らは違う事件に向かう。」
「ち、違う事件?」
連太郎は山本の言葉で、思わず言葉を失った。
殺人事件が起きている最中に、違う課に任せて別に事件を追うことができるのだろうか?
連太郎の頭には、その行動が考えられなかった。
「違う事件ってなんですか?」
「度肝抜かれるぞ。さっきの会議中で入った情報だが・・・・・・」
「総理を含めて各省庁の関係者が乗った政府専用機が、何者かによってハイジャックされた。」
「へ・・・・?」
連太郎は、動きが止まり呆然となる。
総理、省庁、ハイジャック、どの言葉も連太郎にとっては重い響きがあるものだ。
「刑事部の者は全員、この事件を追うことになった。さっきの事件に行ったのは、ちょっとな・・・」
「ちょっとって・・・・、気になりますよ。なんですか?」
「ハイジャックした犯人は複数で、詳しい人数は分からないんだが、その中に岩瀬久司という男がいる。」
「岩瀬って、さっきの殺人事件の被害者と同じ名前!?」
連太郎は気付くと、思わず口をポカンとあけて唖然となる。
「だから、一応あの事件を覗いたんだが・・・。今のところはよく分からんな。」
山本は大きくため息をつくと、ハンドルを横に切る。
「とりあえず、警視庁に戻って会議に出席だ。」
「会議・・・・・」
連太郎は配属当日から、大きな事件の会議に出席できることに感動する。
そして、2人は警視庁へと戻ったのだった。