ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 音符的スタッカート!【りりたん編ひと段落】 ( No.33 )
- 日時: 2011/07/26 20:06
- 名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: wzYqlfBg)
- 参照: 夢十夜ぱねぇ
僕は小説家だ。無論、小説を書くことを本職とし、それで印税やら何やらで美味しいご飯を食べている。……今作っているのは、インスタントのラーメンだけど。美味しいご飯って、こういうことも言うんだろうか。
「さーさーみぃーやぁー、つーづぅーきぃー」
「分かってるってば、昼飯食べてからね、食べてから」
「よし、後1分ね!」
「君はまだ茹でても無い乾麺にどれほどの期待を寄せているのかな!?」
ついさっき作り始めたくせにすぐに文句を言い始めた彼女に対して、僕はツッコミをしてみた。うん、何かこういうの良いなー新婚みたいで。……え、どっか違うって? いやいやそんなぁ…………違うかな……。
「ていうか、さっきまで本読んでたくせに、今更原稿の催促ってどうなの担当さん」
「……待たせて……悪かったな……」
「それ絶対読んでた本の台詞言ってみたかっただけだよね、うん分かってたよ。そういうの言うだろうなってことぐらい」
「わ、私を試したのか!」
「…………おぉっと、麺が固まっちゃうぞー」
棒読みで、手元の鍋を覗き込む。黄色の肢体をくねくねと動かせるそれが固まらないように、手早く菜ばしで鍋の中身をかき混ぜた。あー腹減った。一息ついた。
アレ? ふいにどうしても自分の現状についての描写を語りたくなった。ので、コンロを背に僕は自分の部屋を見渡す。…………何故だろう、サービス精神という言葉が脳裏に…………!?
「ん? どーしたのさ」
「……いや、特に何も」
僕の突如の不審行動(まぁ振り返っただけだけどネ!)に対して、彼女は読み途中の本から顔を上げる。ていうか何でまた本読んでんだアンタ。今日それで4冊目じゃねぇの? 昨日は7冊は読んでたよねちょっと。
……あぁ、忘れていた。僕について語るには、彼女が必然であり必要であり完全常備パラダイス生活だったんだようん。意味分からない。
「ふーん? なーらー良いけどー」
彼女は一度上げた視線を、もう一度本の主人公へと戻した。茶色に染めた長髪が胸の谷間にかかり、えらく艶かしい(いや、見ようとしてるんじゃない。見えるんだよ実際)。
彼女こと、漆咲雅。雅、なんて容姿端麗成績優秀頭脳明晰な彼女にとってぴったりな名前だと思うのは、僕だけでは無いだろう。先ほど感じた通り、出るところは出て引き締まるところは引き締まったナイスなボディと、街を歩けば男性の八割は振り向く端整な顔立ち。どうだ、これが僕の彼女だ! ……いや、未・彼女だけど。…………理解出来ないよね…………まぁ、何でなのかは追々話すとするよ。