ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

試走中(殆)なわたし4 ( No.68 )
日時: 2011/04/11 18:42
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: uHvuoXS8)
参照: 意外ッ!! それはアク禁ッ!

   Re: 愛って何ですか( No.2 )
 名前:白羽*空雪◆ksPo9a3Wo
 参照:寒いですね〜><
 コメント:初めまして。
      白羽*空雪(しらわ*そらゆき)、といいます。
      さっそくですが、私の中での愛は・・・
      そうですね・・・
      家族とか友達とかたくさんありますけど・・・
      やっぱり、ここで出会ったみなさんのこと、でしょうか?
      つまり、大切なものってことです(笑)
      ちょっと照れるんですけどね///


 ネットで書かれた文章っていうと冷たく聞こえるけど、敬語口調で綴られたコメントは、妙に優しかった。この人にとっての愛は、とても大切なものらしい。
 他人の思いなんて理解できるはずない。けど、このコメントを見たその瞬間、私はこの白羽さんという人の性格の良さというか……まぁ何となく何かしらを理解していた。何って言葉ばっかり使ってて、よく自分の考えてることがわかんないけど。

「そんで、次はーっと……」

 携帯のボタンは小さくて押しにくい。しかも気持ち悪い手汗のせいで若干ねっとり感がアップしてるからちょっと押すのに一苦労した。

 
  Re: 愛って何ですか( No.3 )
 名前:百合◆YURIn3b1d
 コメント:愛ですか。僕が思うに裏切りや絶望などの、人間の本性が見え隠れするものだと。
      ちなみに僕は清純な愛よりどろどろの人間関係で芽生える愛が好きですけどねw


「うお、何か分かんないけど恐ろしいな……てかどろどろ、て……」

 さっきのぽわぽわとしたコメントから一変、いかにも人の不幸は蜜の味じゃゴルァって感じの人のコメントだ。緩んでいた口元がぴしりと引き締まり、内心冷や汗たらり。ネットでは性格も百人十色だというけれど……愛ってこういう価値観もあるんだね。
 すっかり数学疲れした目をごしごし擦って、少しぼやけた視界で携帯に向き直った。そして、私のくだらない質問に答えを返してくれた3人に返信のコメントを打つ。


   Re: 愛って何ですか( No.4 )
 名前:衣食住◆dk2RfodKf8
 参照:初めまして
 コメント:あれあれ。3人の方、素早いコメント有難う御座います
      まさかコメントくるとは思ってなかったんで衣食住はびっくりです
      ええと、まだまだ答えや考えは知りたいんで、書き込みよろしくお願いします


「こ、こんな感じ、かな?」

 やばい、久しぶりにサイトとかに書き込むからどう返事して良いかよく分からない。コメント欄に書き込んだだけで頬が熱くなるのを感じる。何で照れてるんだろう。
 と、とりあえず返信。ぴこっという可愛い音と一緒に、画面にキュートな絵柄の猫が返信完了というふきだしを持って私に微笑みかけた。

(いや、照れてるんじゃないや。……多分)

 手の次は今度は背中に嫌な汗をかき始めていて、私はおもむろに立ち上がると猫背で部屋の窓を開けた。さっ、と冬への希望に満ちた冷涼な風が頬を撫でる。ほのかにカレーの香りがしていて、ああ、今日はどこかの家の晩御飯カレーなんだなぁ、とちょっと羨ましく思った。

「ってほわっ、もう返信きてるし! てかレスが7つもきてるってことは、私の後3人も書き込んでるッ!? どこのどいつだ物好きめ!」

 嬉しそうに「わぁ、コメントもりもりだぁ」なんて微笑むのが本来の女子高生ならば、きっと私は常識外れだといわれるだろう。自分の作った恥ずかしいスレに真面目に書き込んでくれている人がいる——何故か、妙に胃がむずむずして眼球がくるくるする。誰かからのコメントに焦りを覚え、恥ずかしさが体内を占めていくそれは、まるで誰かから……

(逃げている、みたい——なッ!)

 にやりと好戦的な笑みを浮かべて、私はクリックした。クリックするはすでに閲覧済みを伝える紫と茶色をごっちゃにしたような色の私のスレ。
 ——さて、次はどんなコメントなんだろうか。かすかな期待を寄せて、私は知らない誰かへのコンタクトをはかる。