ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Io sono speciale. ( No.4 )
日時: 2010/09/12 18:18
名前: 虎紺 (ID: 73BX/oE4)

第二話 


「だ、大丈夫か?」

「・・・うん大丈夫きっとコンクリが脆くなってたんだねアハハ危ないなあ、ほら何してんの起こしてよ」


凄い、これだけを一息に言えるなんて。

全く関係のないことを想いながら手を差し出すと、出来る限り僕に体重をかけないようにしながら、ほとんど自力でさっさと登ってくる。
おそらく力のない僕に配慮してだろう。

「っつか、こんなんマジありえんくね?なんか映画のセットみたいなんだな道路って」

僕の言葉の何処で地雷を踏んだのか、わかりやすい(馬鹿ともいう)聡哉の肩がビクリ、と跳ねる。
すっ、と顔を覗き込むとふいっと目をそらされる。
この幼馴染は本当にわかりやすい。

「・・・っつか、こんなんマジありえんくね?なんか映画のセットみたいなんだな道路って」


「はははそうだな、意外と壊れやすいんだなコンクリ」

・・・本当にわかりやすい。

「何隠してんの?言って。マジで。お願い」

真剣な目でしっかりと聡哉を見つめる。
昔から聡哉は「お願い」という言葉に弱かった。
茶髪ピアスなのに、お人よしだから。

「・・・何も隠してねぇよ。」

ゆっくりと聡哉が言う。

「大体、なんだよ隠してるって。俺がお前に隠し事するとでも?お前アレか思春期か、周りが信じられないのか」

そんな言葉には惑わされないことくらい、聡哉が一番知っているというのに。
でも、聡哉がそこまでして隠したいのなら——


「・・・わかった。そうだよな、大丈夫だよな」

「——聡哉だけはっ!」

軽い調子でニコリ、と笑いながら言う。
その瞬間、聡哉の目がグラ、と揺れるのを見た。
もしかしたら言ってくれる?
そんな幻想を抱いたのは一瞬。

「・・・ああ、俺だけは大丈夫だ、ぜ。嘘はつかないから。・・・っさあ、早く学校行かねえと遅刻すんぜ!」

それは、確かな嘘。
僕が見つけた、最初の嘘——