ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 未知、そして出会い ( No.4 )
- 日時: 2010/09/12 15:52
- 名前: 紅薔薇 (ID: 4jdelmOD)
*
翌日、ハルトとコリィは早朝に集落へ向けて出発した。
ハルトは歩きながら、赤土を振りまいた。コリィは赤土を見て尋ねた。
「これ、赤土じゃないか。どうして振りまくんだ?」
ハルトは一心に振りまきながらも答えた。
「悪魔の嫌いなものの一つだってラスターが教えてくれたのを思い出したんだ。昨日夜中に少し探したんだ」
「へえぇー」コリィは興味心身に見つめた。「じゃこれで集落へ帰れるな。煙の匂いもしてきたし」
ハルトは頷いた。「そうだね」
本当にそのとおり、二人はその後、無事集落へたどり着いた。皆がワッとたかってきた。その中にはベルナもいて、二人に肩をまわしながら微笑んだ。
「良かったな。話はあとでしよう。船長が呼んでる」
船長はとてもベルナを信頼しているのだなと思った。船長からの大切な伝言は必ずベルナから伝えられるからだ。船長が大好きだったハルトは信頼され、寵愛を受けるベルナが少し妬ましかった。ハルトはそれが顔に出てしまったのか、ベルナがそれを察し微笑を浮かべた。
「僕から伝えられるのは不愉快かい?でも船長に本当に信頼されてるのは君なんだぜ」
そういい残すと、ベルナはコリィを撫で仕事に戻っていった。
“僕が?何もできない僕を船長が…?”ハルトは首を横に振ると、コリィとともに船長のもとへ行った。
*
「おかえり。そこにかけなさい」
船長のラスターは翡翠の瞳に優しげな光を宿して、二人を見つめた。コリィは船長と真正面に対面して緊張しているのか、指がせわしなく動いていた。僕が横目でクスッと笑うと、コリィはそれに気付いて文句あるかとでもいうようにハルトを彼もまた横目でキッと見た。船長がそれを見て笑みをこぼした。
「さあ、緊張するな。コリィ。
二人とも、何か分かったことがあったら教えてくれ。悪魔のことについては何か分かったか?」
ハルトは真っ先に、集落へ帰れなかった話をした。それが悪魔の仕業であると確信したことも話した。ラスターは黙って聞いていたが、聞き終えるとゆっくりと顔を上げた。
「それで……赤土を使ったんだな」
「えっ?どうして…」
コリィは目をみはった。僕も思わず唾を飲んだ。
「お前達から赤土の匂いがする。それに……」
ラスターは目を細めた。
「天犬の匂いもだ………」