ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ≪ODD‘オッド’≫5話UP ( No.10 )
- 日時: 2010/09/15 18:10
- 名前: 伝史 (ID: U3CBWc3a)
【逃亡生活】
東京私立東京大学付属南学園高等学校
瑞樹の通うこの学校は、他の高校と比べて城の様な造りとなっていた。
更に、日本が誇る機械化した高校とも呼ばれている。
最上6階まで繋がっているエレベーター、全ての窓が防音・防弾ガラス。
ドアを全て自動ドア、机にはパソコンが取り付けられ、ハイテクな雰囲気を漂わせている。
「玲奈ぁ〜ぁ、瑞樹君は?」
「知らないよ。それより、優子は早く宿題終わらせないと。」
瑞樹の幼馴染で、瑞樹にとって大切な友人である福田玲奈は、ため息をつきながら外を見る。
大きな芝生のグラウンドに、快晴な青空が合っており、5階からの景色は絶好だ。
「瑞樹・・・・どうしたの・・・・・」
玲奈はそうつぶやくと、不安な表情を見せて再びため息をついた。
1階 食堂
うどんを勢いよく啜る、金髪オールバックの男子生徒。
その隣には、ひ弱そうな眼鏡をかけたボサボサヘアーの男子生徒。
「海斗先輩、うどんの汁がこぼれ過ぎです。」
「うるせぇ!!ったく、瑞樹の野郎、俺のメール無視しやがって・・・・」
学園の2年生であり、不良トップである黒舞海斗は、瑞樹に対する愚痴を言いながらうどんを食べる。
その半対で、1年生で学年1位の成績を誇る本城恵太は、呑気にお茶を飲む。
「俺のメール返さないの、これで2度目だな・・・。」
「一度目は・・・?」
恵太の質問に、海斗は鼻で笑ってうどんを食べる。
「俺が中学3年生の頃だ・・・。って、どうでもいいんだよ。」
海斗はそう言うと、うどんの汁を全て飲み干し、席を立った。
───
東京駅から3キロ先
線路を伝って、瑞樹と真奈は政府から逃げていた。
たまに上空を通るヘリコプターに、真奈は脅えるが、瑞樹が安心させていた。
「どこに行く気なんだ?」
「東京の湾沿いにあるごみ処理場。そこに、私の知り合いがいるの。」
「ゴミ処理場!?」
瑞樹は思わず、大声を出して驚く。
真奈は瑞樹の反応を見て微笑み、笑顔で頷いた。
「なんでそんな所に?」
「能力者は、隠れて生活しないとね。ゴミ処理場なんて、政府は探す気もないよ。」
真奈の意見に、瑞樹は一度は納得するが、その言葉で心が動く。
能力者は隠れて生活_____
「なりたくてなったわけじゃないのに、なんで隠れて生活しないといけないんだろうな・・・・」
瑞樹の弱気な発言に、真奈は優しい声で返答した。
「それが、私達の使命なの。能力者になった理由は、必ずある。」
「・・・・・そう・・・なのか?」
瑞樹は素直に納得できない。
だが、今は悩んでいる場合ではないことに瑞樹は気がついた。
「そのゴミ処理場へ急ごう。政府の連中が追いかけてくる。」
「そうだね、行こう!!」
瑞樹と真奈は、ひたすら線路の上を走るのだった。
───
「ミスターX、申し訳ございません・・・・。」
大きな暗い部屋の中、天地人は誰かに向かって話しかけていた。
ミスターXと呼ばれた人間は、顔がより闇の中に隠れて全然見えない。
「失敗しすぎたら、許さないよ。」
「はっ!!重々承知です・・・・。」
天地人は深く頭を下げ、発した言葉は微かに震えている。
ミスターXは一歩前に出ると、天地人の肩に手を置いてつぶやく。
「法制局長官の座、何れは変わるかもね。」
「・・・・し、失礼します。」
天地人は無理やり、ミスターXの元から離れて、部屋を出て行った。