ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ≪ODD‘オッド’≫キャストUP ( No.9 )
- 日時: 2010/09/15 18:07
- 名前: 伝史 (ID: U3CBWc3a)
【光を追う光】
「それで、失敗したのか?」
床が大理石、天井にいくつものシャンデリアが吊るされ、その大きな部屋に2人の男性がいた。
1人は、高級な椅子に座り、その目の前にはスーツを着た男が建っている。
「申し訳ございません・・・。まさか、邪魔が入るとは・・・・」
「その邪魔した男は?」
「に、逃げられました・・・・」
男の言葉を聞き、内閣法制局の長官である通称‘天地人’と呼ばれる男は、大きなため息をつく。
天地人は頭をボリボリと掻き、男の目を睨みつける。
すると、男は体を震わせながらお辞儀をした。
「次の失敗は許されない。渡会真奈を見つけ出し、速やかに捕えろ。」
「わ、分かりました。」
男は一礼をすると、振り向いて木製のドアへと急ぐ。
「嬉しい結果を待ってるよ。プラム君♪」
天地人に名前を呼ばれたプラムは、もう一度お辞儀をして部屋を出て行った。
────
瑞樹の自宅を出て4時間
瑞樹と真奈は、とりあえず東京駅へと訪れていた。
「で、これからどうするの?」
「とりあえず、私の知り合いの元へ行く。勿論、私達と一緒の能力者だよ。」
真奈は笑顔でそう言うと、券売機の方へ向かっていく。
瑞樹はこの時、ふと家族のことを思い出してしまった。
何も言わずに家を出て、今日の夜には大騒ぎになること間違いない。
だが、瑞樹はそうなることを承知で、真奈に付いてきたのだ。
「切符買ったよ。早く乗った方が良いかも、政府の連中は私の顔知ってるから・・・」
「そうだな、急ごう。」
瑞樹は真奈と共に、ホームへと続く階段を上る。
その直後だった。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
階段の下の方から、女性の悲鳴声がホームまで響き渡った。
2人は驚き、後ろを振り向く。すると、何人もの悲鳴や大声が聞こえてくる。
すると、悲鳴や大声が段々近づいていることに気がついた。
「急いで!!!政府の連中よ!!!!」
「わ、分かった!!!」
真奈の言葉で、瑞樹は階段を駆け上がりホームへ急ぐ。
すると、階段の下から無数の紫色をした炎のドラゴンが2人めがけて向かってくる。
それに気付いた真奈と瑞樹は、顔を合わせて階段を駆け上がる。
ホームへたどり着くと、休む暇なく新幹線へ飛び乗った。
「きゃぁぁぁ!!!!」
ホームにも悲鳴が上がり、2人は車内の中を駆け抜け一番前の車両に急ぐ。
「あそこだ!!追え!!」
紫色の炎で出来た無数のドラゴンは、一か所に集まり人の姿に変わった。
その直後に、階段から黒スーツを着た5人ほどの男性が現れる。
「車内に逃げ込んだ。袋の鼠だ、捕まえろ。」
男の言葉に、スーツの男性たちは車内に駆け込む。
「真奈、どうするんだ!?」
「・・・・・どうしよう・・・・・」
真奈の頭は混乱状態、しかし、この状況で瑞樹の脳内は意外にも冷静だった。
瑞樹は少し考えると、真奈の腕を掴み再び足を進める。
「どうするの!?」
「考えがある。」
*******
スーツを着た男性たちは、1番車両まで来ると足を止めた。
「逃げられた・・・・」
男たちは、反対側のドアが開いていることに気付いて確信した。
「奴らはどこだ?」
「逃げられましたが、恐らくまだ近くにいるでしょう。」
スーツを着た男たちは、後からやってきた紫色の髪をした男性に言う。
「早く追え。天地人長官には私から伝えておく。」
「了解しました、炎灯人。」
スーツを着た男たちは反対側のドアから降りると、2人を追いかけて行った。
「・・・・渡会真奈の隣にいた男は・・・・」
炎灯人は、真奈が新幹線に駆け込む際に瑞樹を見て不審に感じていた。
「能力者の可能性が高いな・・・。調べておこう。」
炎灯人はそう言うと、体を紫色の炎に変えて、新幹線から空へと飛び立っていった。