ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 生きたいあーちゃんと逝きたいあーくん ( No.14 )
日時: 2011/04/25 15:18
名前: 出雲 (ID: luklZ16E)
参照: 第一章「現実でりーと」→第二話「自我でりーと2」

彼は僕の同胞だ、なんちゃって。

内海 明流。
被害者、何の?殺人事件の。

一年前この田舎町で連続殺人事件が起きたらしい。

僕は知らなかった、いーさんについこの前言われて初めて知ったわけですね。
で、僕と同じ精神科病棟に通い詰める常連さんであーる。

「内海は?」
会ってみたいとか、そういうわけじゃない。
いや。そういうわけじゃないけれど言葉に意味もない、って…アレ?

「同じクラスだよ」
緩が言う。

教室へ向かう為に歩いていた廊下。
誰もが僕を見る?
いいや、そんなことがあるわけがないじゃないか。

人間は自分が大好きで、他人のことなんて全く興味が無い生物なのだから。
そして、苦笑。

言葉に意味があったもんじゃない。


「そうなんだ」
緩に返答すると、教室へ二回目と言う快挙に浸りながら足を運ぶわけだけど。


その内海とやらには、関わらない方がいいとか何とか言われた。
もちろん、そんな事言うのはいーさんしかいない。

そう、いーさんに言われた時には既に面識が合って、一言会話をした仲。
僕はそのとき、彼が殺人事件に関わりがあると悟ったのである。

意味はないのである。

だから、いーさんに言われて初めて知ったわけだから、話をした時はそれが誰でどうしちゃったのかは皆無だったのだ。


「僕の席どこだったっけ」
一言つぶやく。

足を踏み入れたその教室は目眩を誘った。
似てた、トラウマの元凶になりし『あの場所』に。

「あずの席はあそこだな」
緩指さしたのは窓側の一番後ろの席だった。

その場所を見るに、席替えをして不登校だったあずは強制的にあの一人席になったわけだ。
「ナルホド」

内海はどうなるんだよ、と思ったけど。

「俺、ここだから」
緩は荷物を教室入ってすぐの最前列の机に置く。
一番前ですか、いいなぁ。

先生がいるから寝る事もなく、真面目に勉学に励めますね。

「そうですかー」
心に嘘をついていたら、敬語が飛び出してしまった!
緩が僕を見てきた。

「それじゃあ…」
逃げ出すように、席に向かう。
ここに来たらやはり目立ってるなぁ、注目されている。

内海も、これを経験したのだろうか。

「紅葉が綺麗に見えますな」
窓側の席を堪能する。


そして、その言葉に誰かが反応してくれた。

『そのようで』

驚いて振り返るという素振りはしない。
する必要が無い、後ろに誰もいないのだから。

声の主の判別に苦労することなく
「お久しぶりですね」
話題の人物に言った。

「××クンでしたっけ?」
NGワードですな、それは。
「そうですがそうじゃないです、僕は氏名ですがあずでいいですよ」
というか、あずでお願いします。

「そして内海クンですねー」
「そうですねー」


…僕は今日。
分身と、再会した。

『似ている節がある、から』
いーさんがそう言ってた。

その言葉の意味が、何について言ってるかは解らないけれど。
僕もそう思います。