ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 生きたいあーちゃんと逝きたいあーくん ( No.16 )
- 日時: 2011/04/25 15:19
- 名前: 出雲 (ID: luklZ16E)
- 参照: 第一章「現実でりーと」→第二話「自我でりーと3」
「××クンや」
「ノンノンですよ、××クン」
…さぁ、どちらがどちらでしょう。
問題を出すことが出来るほど、彼は僕と一緒だった。
実は双子だったりして。
まぁ。それは、ありえないんだけど。
言葉に意味はない。
「…何故それを?」
「そっくりそのままお返ししたいです」
僕のことは僕が一番知っている。
そして次に知ってるのは、多分、いーさんに違いない。
席について、仲良くおしゃべりをする。
周りにどう思われているのかねぇ…
「…」
彼が黙った。
「どうでもいいですけど、安心してください」
僕は彼の無言を押し破るようにして微笑んで、偽善者を演じてみた。
彼に偽善は通用しないわけで、言葉に意味はないわけですがね。
「何を?」
「もう、旧名では呼ばないと言う事です」
旧名、じゃないんだろうけどなぁ。
僕も。彼も。
それにしても、ホームルームは始まらない。
でも今のこの時間が楽しいなぁ、とは思わないけど充実してる。
分身は、やっぱり分身だから。
「それじゃあ、そっくりそのままお返しします」
氏名 あず。
僕にとって一番、適した名前。
あずの後に一文字必要だけど、そこはでりーと済。
それと氏名は『しめい』じゃなくて『うじな』であることをお忘れなく。
「それじゃあ、改めましてお久しぶりです」
「内海 明流クン」
僕は、彼の偽名。違かった!
フルネームを呼んでみた。
氏名っていう名字はいーさんから借りている。
氏名 郁、それがいーさんの本名。
閑話休題。
「こちらこそ、氏名 あずクン」
改めまして、改名しましたこんにちわ。
僕は今日から、氏名 あずになったわけですね。
「おっと、そろそろですかねぇ」
先生が、教室に姿を現した。
一か月ぶりにやってきた僕に、先生は笑顔で眼を合わせてくる。
…いーさんかな。
言葉に、意味はないけれど。
黒板には木の一文字が書かれていた。
「あ」
僕は帰らないといけないのか。
あの、真っ白な場所に。
行きたくなくは、ない。
逝きたくなくは…?
自我崩壊。
あの場所にいくと、自分が自分でなくなってしまいそうで、怖い。
崩壊させてるのか、させられてるのか、それとも。
もともと崩壊してたのか。
それでも、何も自分を理解できていなくとも一つだけ言えるのは。
自分が崩壊したのは、まぎれもなく。
崩壊、させたからだと思う。
言葉に意味はないだろうけど、どうだか。