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Re: 生きたいあーちゃんと逝きたいあーくん ( No.22 )
日時: 2011/04/25 15:25
名前: 出雲 (ID: luklZ16E)
参照: 第二章「崩壊りばーす」→第四話「追憶りばーす2」


あれ?

あれれ。
『とーる』

顔を見せたありす(定かではない)は、僕の心を蝕んでいく記憶の中にいる少女と似てる。
積木が崩れていくように、僕の心が壊れていって。

僕が発したその言葉は、僕にとって。
僕だけを傷つける、自虐的な言葉。


『あーちゃん』


僕だけの心に残る。
僕だけが知っている。
僕だけで彼女の為の記憶。
「とーる、あーちゃん、とーる?」

…こほん。
あーくんとしての僕の語り終了。
言葉に意味の無い語りも終了。

あーちゃん(ありす(多分(確か(不明瞭))))と、呼んでいた少女がいた。
過去、過去と言う名の記憶の中で彼女は僕をあーくんと呼んでいた訳で。

「僕はとーるじゃないよ」
彼女が僕を忘れたのは、悪夢が終わった日。

違う。

彼女が僕を忘れたことで終わって、始まったのか。

「あーくんだよ、あーちゃん」
覚えてる筈は無いけれど、僕が彼女と出会うなら呼ばなければいけない約束。

「あーくん!私あーちゃん!」
その約束も破ろうと思えば破れるのだけれど。
言葉に意味を持ちたいから。

僕が最後に意味を持った言葉だったから。

「そうだよ。やっと逢えたね」
心が崩壊しても、崩れて壊れて繰り返して。

りばーす、りばーす。

今日から悪夢を思い出す。
「うん!とーる探してたの!あーくん!」
「あーちゃんはとーるを探してたの?」
「そうだよ、とーるととーるがらっぶらっぶなの!」
「羨ましかった?」

「うん!!私もらっぶらびゅしたかったのだ!」
そうかー、僕を探していたわけじゃないことが心が痛む原因?
憎いと思うのは、僕の異常な嫉妬?

「じゃあ、昔みたいにらぶらぶしますか」
言葉に意味がないように。
「あーくんにらぶどっきゅーん!」
「どっきゅーん」

彼女の言葉にも意味は無いんだろうね。

『氏名くん…』
とーる(男)が僕を見て呟いた。
うぬ。突然おかしくなった僕にどん引きしている感じですかね。

これが、あーくんなので。
「改めまして、あーくんです」
自己紹介をしてみる。

彼が口を開く前にあーちゃんが腕を絞る。
「あーくん、とーるなのだ」
痛すぎて、言葉が返せないのだけど彼女は彼を紹介してくれた。
いだだだだだ。

「はじめまして、とーるです」
そうして彼もとーるとして自己紹介をした。
笑って、でも内海明流の笑いでは無くて『とーる』としての。


「とーる!あーくんお借りしまするー」

分身だともう一度確信。
僕であって僕ではない、彼であって彼では無い。

そして、とーる(女)とあーちゃんは分身に近い。
誰かを必要にしていて、誰かが好きで、でもその相手は恐れてる。

そんな、偽善で哀しいカップルが精神科病棟に二つに増えましたとさ。