ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 生きたいあーちゃんと逝きたいあーくん ( No.37 )
- 日時: 2011/04/25 15:32
- 名前: 出雲 (ID: luklZ16E)
- 参照: 第二章「崩壊りばーす」→第六話「りばーす回廊1」
第六話 りばーす回廊
「…」
おしまい、昔話しゅうりょー。
全部夢でした。
いつの間にか寝てた僕は、頭の中の記憶を無理やり掘り起こしてた。
「むぐぅ」
何とも言えない言葉が漏れた。
あーちゃんはベッドで小さく吐息を立てて、気持ち良さそうに寝ている。
僕が言葉を漏らしても起きてくる様子は無い。
「あーちゃん」
呟いてみる。
あーきゃわいー。
…どれもこれも言葉に意味はないのでしたー。
病室の時計を見ると、それはもう…な時間だった。
それは本当にもう、大変なことだった。
もういっそのことこのまま寝ようかナ!
いっそのこと永遠の眠りに。
意味無いですー。もう夜はこれからだぜ!な時間帯なのでしたー。
「いーさん怒ってるかな」
怒ってるよな。の間違いでした。
開いた携帯には返事がそこから聞こえてくるような着信の跡。
確認して携帯を閉じて、眼も一緒に閉じる。
「望んだ結果だ…」
音がした。
僕の小さな呟きの裏で、聞こえてきた音。
「…ぁ」
振り返ると、病室のドアから顔をのぞかせている影があった。
少女。
「何か、用ですか?」
「おまえ、誰」
「あー…名乗る程でも無いものです」
「誰」
すぐ返された。
「氏名です」
諦めてそう告げると、少女は口を噤んだ。
あ。
今頃、あーくんって名乗るべきだったなと思った。
それにしても、ものすごく懐かしいな…
「違った」
黙っていた少女が僕に淡白に言った。
独り言だったのかもしれないけど、デリカシーのなさで知られる僕は聞き返す。
いーさん曰く、空気読めないこともあるとか無いとか。
所謂、KY(加藤四吉)という奴だ。
…そうだ。これからは加藤四吉を偽名として使おう、そうしよう。
意味無かったんだけど、ないすあいであ僕。
よきちとか古臭いってどっかから聞こえた。知らん。
閑話休題。
「違った…とは?」
聞き返すと少女は僕が気になる一文を説いてくれた。
「昔の友達。おまえによく似てた」
…僕に似てた友達って誰だ。
凄い気になる。
滅多にいないよな、いるならお話してみたいもんだ。
「でも、君…えーと」
「佐藤 ゆらり」
名字は一番多いのに名前がかなり珍しかった。
というか、この病院で二人目の佐藤さんじゃないか。
流石、日本で一番多い名字。
「佐藤さんは…」
「ゆらりでいい」
「ゆらりちゃんは…」
「ゆらり」
「 」
困った。
どうしても、ゆらりって呼ばせたいのか。
「何歳?」
どうにか話を進める為に、本題に入る。
「多分、二年生」
ものすごく気になる解答が返ってきた。
【問題 傍線部はA〜Dのどれに当てはまりますか】
【回答 多分、B】
こう書かれたらどうしよう。
完全に勘だ、多分ってどういうことだよ。
脱線したけど、容姿からしてみるに少女は高校二年生だと認識。
少女と表記したけれど、実際皆様がご想像の幼さは微塵もない、そんな女の子だった。
「じゃあ、違うな。僕三年生だから」
真似してみた。
小学でも中学でも無くて高校なのさ!
そうしたら、今までで一番気になる言葉が発せられた。
「三兄弟って言ってた」
…ふぬ?