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Re: 生きたいあーちゃんと逝きたいあーくん ( No.44 )
日時: 2011/04/25 15:07
名前: 出雲 (ID: luklZ16E)
参照: 第二章「崩壊りばーす」→第六話「りばーす回廊2」


三兄弟。
なんだか、とっても運命じゃないか!

「ナルホド」
自分にしか分かる筈もない相槌をうってから、気付いた。
ゆらりの後ろに得体のしれない影が…あるわけないよ、そんなホラー起っちゃいない。

所謂、アレです。
言葉に意味はありませんでした、って奴です。

気付いたって言うのは、ゆらりがあゆみと同い年だってことだった。
生きていれば。の話だけど。

「氏名」
閑話休題。
ゆらりが僕を呼んだ。

「どうした?」
「コイツ」

ゆらりの人差し指がベッドに横たわる、あーちゃんを指さした。
あーちゃんはもちろん夢の中…
寝息一つ零さず、死んだように眠るあーちゃん。

「あーちゃんが、どうかした?」

ゆらりが目を細めた、様に見えた。
暗いからはっきりは分からないけれど、暗い所に慣れた僕の眼にはそう見えていた。

言葉に意味は深くは無いよ。

「コイツの、恋人?」
わお。大胆に率直に聞いてきたじゃないか!


「あーちゃんの、うん、まぁそうかな?」


躊躇う事もせず、出てきたのはそんな言葉だった。
勝手にそう決めているけど、きっとそうなんだと思う。
…というかこれからそうなるんだ。
恋人になる予定。

あーちゃんはきっと、もう僕が必要不可欠で。
僕もあーちゃんが居ないと生きていけなくて。


あーちゃんが居ないと生きている必要がなくて?

あーちゃんの傍にいないと存在も必要なくて?

あーちゃんが生きていないと生きていけなくて?

あーちゃんの為に生きてきたわけで?

あーちゃんに必要とされない限り言葉に意味は必要なくて?

あーちゃんが必要で?

あーちゃんが必要だと思わないと死んでしまいそうで?

あーちゃんと一緒に死にたくて?

あーちゃんに殺されたくて?

あーちゃんに。あーちゃんが。あーちゃんは。あーちゃんと。


あーちゃん。



「はは」
つい、笑っちゃうよね。
感情のこもってない笑い声が暗闇に響いて、不気味だなとか。

「危ない」
「え?」

僕が?って聞き返そうかと思ったよ。
一瞬おかしな人だったからね。
というかいつもおかしいんだろうけど、決してそこには触れない。

触れたら、何かが爆発しそうで仕方ないんだ。
こう。ばーんって。

「コイツは危ない」
でも、ゆらりがいうコイツ、はあーちゃんのことだ。
ゆらりはあーちゃんを凝視しながら呟いた。
「どうして?」

分かってるけど。

「私も危ない、だから」
「?」

「私と、同じ。私とコイツ、同じ。だから危ない」


昔。
僕の事を危ないと言った誰かが居た。
今のあーちゃんの立場で、言われ続けていた。
僕も危ないのだ。あーちゃんよりもずっとずっと。


言葉に意味は無いけど。