ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 生きたいあーちゃんと逝きたいあーくん ( No.7 )
- 日時: 2011/04/25 15:13
- 名前: 出雲 (ID: luklZ16E)
- 参照: 第一章「現実でりーと」→第一話「でりーと済2」
「病院生活は運動と無縁ですからな」
ぬはは。
結構動き回ってましたけど、いろんな意味で。
『行く気になったら行け』
いーさんの負け。
新聞を手に取るとソファに音を立てて座る、僕は寝室という名の自室に戻ることにした。
「そうは言ったもののやはり行かねば」
勉強に追い付けなくなったら大変だ。
もちろん今の言葉に意味は無し、既に追いつけなくなってるのだよ。
そして高校生になった自覚もなし。
『そんなの関係ないだろ、行ってこいや』
はぁ、聞いてましたか。
盗み聞きはよくないのだと習いませんでしたかね?
「僕の知力は中3で終了してるんですけどね」
『中3も高3も対して変わんないだろ』
というか僕、受験したっけ。
二年前、高1の夏で僕の学校生活は一旦終了したのだ。
崩壊、その二文字で表せる。
狂、その一文字でもどうにか表せる。
そう、いとも簡単に僕は自我を見失って、ぴーぽーぴーぽーと赤十字を背負った建物に連行された。
もとい病院のもっとも冷たいところ、精神科病棟にだ。
「あそこには慣れないな」
「あ、慣れちゃいけないのか」
二度目の入院だったけど、どっちも精神科病棟の一室。
『学校か?』
いえいえ、そう思っていただいても結構ですが。
「あ、まぁ」
『嘘だろ。慣れろ』
ばれた、というかどっちなんだか。
「慣れるのは無理だと」
いーさん目を見開いて俯いた。
おや?
なんだかものすごく後悔してる様子。
うぐぅ、僕が悪者みたいじゃないか、とか言って。
「でも登校してみます」
僕、慣れなきゃいけないし。
学校。
『あ…』
「いーさん何か気にしてます?」
『…』
「慣れなきゃいけないと思ってましたから」
気にしないでください、そう続けて僕は学校に行く準備を始めたのだった。
『ごめん』
言葉が通じないのか、この人は。
「気にしないでください」
もう一度言ってからクローゼットをひらいた。
「久しぶりですな」
二年とちょっとぶりの制服。
夏服だから、これは着ないけど。
今は確か、秋ですよ。
読書と食欲と悪夢の。
最後は僕にとっての、だけれど。