ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 青い、ちっぽけ、ボンクラ。 不安定な僕等 ( No.1 )
日時: 2010/09/14 20:25
名前: 夜深 ◆2C0BmKQq3I (ID: a6i4.RaK)

第一幕「スベテ。」

僕の鞄が揺れる。電車も揺れる。
ノートで全力疾走するシャープペンをとめて、
ふと窓の外を見る。
雲を覆っていくような橙色。
強く深く塗りたくっていくような空が広がる。

「お前、なんでそんなにトロいんだよ」
「もっとしっかりやれよ馬鹿」
ぶつけられていく言葉を無造作に拾い上げ、
いちいち感情移入して。
僕って馬鹿なのかなぁ。

でも。
すべての人が僕を嫌ってるわけじゃない。
すべての人が僕を好いてるわけじゃない。
すべてのことが完璧な奴なんているわけない。
僕はまだ、不安定。

鞄に付いている、どこかの野球チームのキーホルダー。赤い模様が印象的。
見つめていたら、頭が痛くなってきた。

僕はまだ不安定。
少しの言葉をかけられただけで痛みを感じる。
不安定で弱い存在。

僕はまだ不安定。
不安定だからこそ、まっすぐに前を向いて
進んでいくところへ進める。
ときどき道に迷って、こみ上げる気持ちを必死に抑えながら家路を辿ることもある。
僕はまだ、世界のすべてを知らない。
知らないからこそ知ろうとする。
知ってから理解して深めようとする。

すべての人に、神様は平等に考える力をくれた。
それを使って僕らはこれから進んでいく。