ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 青い、ちっぽけ、ボンクラ。 不安定な僕等 ( No.8 )
日時: 2010/09/22 22:28
名前: 夜深 ◆2C0BmKQq3I (ID: a6i4.RaK)

第七幕「線香花火の想い出。」

映画のように寂れた景色。
誰かと誰かの喧騒のなかで
いつだってそこにあった夏の風。
いつか消えてしまうことを怖れて、
僕は線香花火を握り締めていた。

八月二十七日の夜
甘い赤い綿あめ。 爽やかなブルーのかき氷。
黄色く釣り目の狐面。 よく当たるダーツ。
楽しいもの並べ立てた夏の日。
あの日の残像を繰り返し、繰り返し、思い出す。

揺れる向日葵。滲む汗。白く光る入道雲。

ミライに向けて埋めてみた小さなタイム・カプセルのなかには
癒えないままの気持ちと言えないままの言葉が沢山詰まっている。

今度、それを開けるのはいつかな?
分からない。 今、僕は何をしているのかを。
分からない。 今、僕は何をすべきなのか。

本当は全部知っている。
僕は素直になることが目標で、
君を見つめていることが大切だってこと。

二人で手を繋いで帰った夕焼け。
いつまでも色あせない、あの夏

空に舞え、線香花火
汗に燃えろ、消えないままの小さなひかり。