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Re: 「危険空域」 —オリキャラ募集中— ( No.2 )
日時: 2010/09/15 16:43
名前: agu (ID: zr1kEil0)



アヴァロン大陸。

その内陸に多くの小国と一部の大国を有する、この星で最も大きな大陸だ。
北は寒く、南は暑い。東は広大な平原が広がり、西は砂漠と山岳地帯が多くを占めている。

まァ、それは地上での事だ。
空ではそんなことはまったくもって関係無い。そこにあるのは究極の自由、そして名誉。

俺達は航空傭兵———空のならず者達だ。





「こちらウェイキング管制塔。<カウフマン>着陸を許可する」

窮屈なコックピットに搭載されている無線から、雑音まじりの音声が聞こえる。
それは俺にとって戦いの終了を示す合図であり、また自由から離れて、規則というクソッタレな物を守らなくてはいけない時間が来たということでもある。
つまり着陸、だ。

「了解、ウェイキング……」

俺は不機嫌そうな声を無線の向こうにいる相手にぶつけてやった。ざまあみろ。
雑多な器類からスイッチを選び出し、それを起動させた。

こうして俺の機体はやっとギアを出してくれる訳だ。
たまに我侭になる時もあるが、そういう場合はとにかく“暴力的”に振舞えば解決する。

ゆっくりと機首を上げ、それに反比例する様に高度を下げていく。

キキッという耳障りな音と共に重力が襲い掛かってきた。

成功だ———





俺は止まった機体から素早く降りると、飛行服を脱ぐ為に宿舎に向かった。
後ろでは整備員たちが、せっせと働いてくれている。俺達が飛べるのは彼らのお陰だ、感謝。

宿舎に向かう途中、一つだけ口が開いている格納庫を見つけた。
中にはS−36戦闘機、“アイツ”の機体だ。どうやら俺より先に基地に帰投していたらしい。
S−36はズタボロになっていて、見られるもんじゃなかった。
どうやら“アイツ”は相当なヘマをやらかしたらしい。

からかいの種にできるな、これは……

俺はそんな事を思いつつ、宿舎へその足を進めた。