ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 「危険空域」 —オリキャラ募集中— ( No.5 )
- 日時: 2010/09/15 19:47
- 名前: agu (ID: zr1kEil0)
歩みを進めるにつれ、目の前に灰色のコンクリ造りの建物が見えてくる。
俺はその正面まで進み、この建物をじっくりと観察した。
そう、これは俺達の宿舎だ。
宿舎はそう大きくないが、快適だ。文句なんて言えない。
正規の戦闘機乗りたちが使う場所を俺達航空傭兵にも分けてくれた。
ここの司令官はかなりの太っ腹だと思う、大抵はもっと粗末な場所なのに。
俺が宿舎のロビーに入ろうと眼前の扉を開けようとすると、逆に内側から開かれた。
俺の意を知ってか知らずか、まぁ知っていたら逆にどうなんだと思う。
まぁ、それはともかくとして……
出てきたのは、不機嫌な顔をした藍色のポニーテールの少女。
いや、不機嫌というか顔が笑っていないからそう判断しただけなんだが……
まずは挨拶だ。
「よォ、お嬢ちゃん。迷子かい?」
少女は俺に気づくと、その不機嫌そうな顔を更に歪めやがった。
「その言い方は止めてください……私も航空傭兵です」
世も末だ、とは言わない。確かに珍しいだろうが、能力があれば子供でもジジイでも成れる。
俺は少しおどけて、言葉を選ぶ様な振りをした。
「……おっと、これはこれは……俺は<カウフマン>だ」
「私は<ローズガール>です……司令から聞いたことがありますよ、とんでもなく危険な飛行機動を好む奴だって」
おうおうおう、俺の名前も多少は有名になったのかな?
「はははっ、それは当たってる。確かに危険は俺の友さ」
ローズガールは溜息を吐くと、宿舎の中を指差した。
「貴方の相棒さん、荒れてますよ。早く行った方が良いのでは?」
はぁ、あの野郎。相当ボコボコにされたみたいだな……。
「本当かよ、まったく世話が焼ける……ありがとよ、<ローズガール>話せて楽しかったぜ」
「そうですか、私にとっては無駄な時間でした」
この少女はどうやら中々キツイお方らしい。怒らせたくはないな。
俺はそんな事を思いながらも、早足で宿舎に飛び込んだ。