ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: GAME 命をかけた殺し合い ( No.4 )
日時: 2010/09/17 17:05
名前: 山下愁 (ID: GlvB0uzl)

「……ん? 硬い…、ハッ!」
 授業っ! と叫んで飛び起きた紅月は首を傾げた。
 目の前は教室ではなく、どこかの街みたいだ。しかも、紅月が寝ていた所は道路のど真ん中。
 高いビルが立ち並び、街路樹が所々に生えている。
 しかし、人が誰もいない。こんな都会の街だったら、若者で溢れかえっているはずだ。
 紅月は立ち上がり、歩き始める。行く先は決まってはいない。とりあえず、人を探す事を決意したようだ。確信はないけど。その時だ。

「二階堂、お前もいたのか!」

 紅月の前に現れたのは、茶髪で銀フレームの眼鏡をした少年だった。
「木下?」
 少年、木下竜輝は紅月の前に来ると、膝に手をつき、深呼吸をする。
 紅月は竜輝の顔を覗き込み、笑って見せる。
「どうしたの? そんなに急いじゃってさぁ、なんかあった?」
「大アリだバカ! お前、学校に来るのが遅いんだよ」
「えっとぉ、そんなに声を荒げてどうしたの。起こってる?」
 紅月は苦笑いしながら訊いた。
 竜輝はずり落ちた眼鏡を上げて、紅月に背中を見せる。どうやら、ついてこいと言っているようだ。
 とりあえず紅月は、竜輝の後について行く事にした。


****** ****** ****** ******

 2人が辿り着いた所は、噴水がある広場だった。周りにはビルが立ち並び、高速道路までもある。
 紅月は噴水の台に腰を下ろすと、竜輝に訊いた。
「何で誰もいないんだ? 俺らだけ?」
「いや違う。ここにいるのは望月中学の3年4組だけだ」
 竜輝の口から発せられたのは『3年4組』—— つまり、自分のクラスだ。
 紅月は辺りを見回す。しかし、紅月と竜輝以外は誰も見当たらなかった。
「嘘じゃないよな…」
「本当だ」
 紅月はため息をついて、噴水の中に手を突っ込んだ。
 水は透き通っていて、冷たくて、気持ち良かった。
「で、皆はどこにいるんだよ?」
「そのうち、誰かしら戻ってくるだろう」
 竜輝は紅月の隣に腰を下ろし、目の前に映るディスプレイを見た。
 紅月も同じようにディスプレイを見上げる。
 画面に映っているのは、砂嵐しかなかったが。
「何が始まるんだか」
「それは僕も分からない。でも、確かなのは危険なお遊びって所か」
 竜輝はディスプレイから目をそらさずに、棒読みで言った。
 ふーん、と紅月はうなずいた時。


『やぁ、3年4組諸君』


 突然、ディスプレイの砂嵐が止んで人が映った。頭から、映っている胸のあたりまで全てが真っ黒の人だった。声からして、男だろう。
 その男は、いきなりこう言ったのだ。


『GAMEを、始めようではないか』


『最後の1人になるまで殺し合う、バトルロワイヤルを———!!!!』



———— 第2話