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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ツギハギセカイ〜合作小説〜 ( No.21 )
- 日時: 2010/10/09 02:48
- 名前: agu (ID: NHSXMCvT)
光が収束し、そして一つとなる。
やがてその、眩いまでの光がフッと落ちた。
「なぁ、マッチにも擦るものが必要な様に、私達にも何か引き金となる物が必要じゃないか。ええ?」
窓際に置かれた椅子に腰掛けている、年配の男が言う。
ハンニバル=アンダーソンは周囲の状況を把握しようと努めながらも、返答した。
「……哲学的な話題はノーセンキューだ……こんな状況下では特に」
男は肩を竦めながらも、その口を滑らかに動かす。
「哲学は良いぞ、現実から逃避したい時にはな」
彼は椅子からゆっくりと立ち上がると、閉まっていた窓を開いた。
バンッという半ば発砲音にも聞こえる音に顔を顰めながら、ハンニバルは口を開く。
「それで……どうしたいんだ、貴方は?」
問いかけられた質問に、名も分からぬ年配の男は、ハンニバルに背を向けたまま答えた。
「うん?性急だな……まあ、いい……これから君をある所に飛ばす、そうして君は私と対決する……望みはそれだけだよ、多分ね」
返ってきた答えは曖昧で、そして要領を得ないものだった。
ハンニバルはジッとただジッと、彼の背中を見つめる。
「エンターテイメントは好きじゃない。ここでやるか?」
そうして銃のホルスターからコルト・ガバメントを引き抜いたハンニバルに彼は一声。
「やぁやぁ、撃たれる前に飛ばしてしまおうかな?」
ハンニバルは左目でウィンクをしながら、言った。
「それが良い」
男は背を向けたまま右手を虚空に挙げる。
そうして洗練された仕草で彼は指を鳴らした。
パチッというを聞いたのを最後に、ハンニバルの意識は混濁の渦に巻き込まれていく。
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