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Re: ツギハギセカイ〜合作小説〜      ( No.22 )
日時: 2010/11/09 15:20
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

「クァあぁ……、眠いよ」

どこぞの馬鹿魔神が船の上で大あくびをしながら双眼鏡で周囲の様子を伺っていた。
別に、これと言って異変も見られなければ、異様な魔力も感じないらしくただただ寝転がって居るだけだった。

「暇な仕事なんてノーサンキュー、スリルがあるのがいいよ。恨むよ神界統率者の馬鹿ババアめが」

「そんなこと言わない。任務がある分ましでしょ? 存在理由が無くなったら私たちは凍結処分よ」

「まあね」

その会話の直後、何者かが海上を滑るように低空飛行しながら海賊船を貫いた。
貫く辺りがただの一般人ではないと分かる。
だが、船員は見向きもしない。
この種変は時空のゆがみが激しく、迷子が多いが故に暴れている者も多いのだ。
魔術使用者なのだろうが、相手にすらならない。
突き抜けられて穴の開いた船をボーっと眺めていたネルが、

「どこか行こうよ、暇でしょうがない」

「そうだね〜、陸に上がろうか」

その言葉を合図に津波が穴の相手浮いていられるようには見えない舟を陸地へと猛突させる。



その数時間前、ととある都市のビルの上で。

「今回の任務はお得意さまからの仕事だ、心して掛かるように。失礼はあってもいいかもしれんが、邪魔はするなよ。それとこれは私からの任務だ、その世界の魔術を手に入れて来い」

黒い長髪の男が紅い瞳を少女に向けて言い放った。
彼は、地獄の王サタンであり、現在はこの会社の社長だ。
地獄の王と言っても、サタンと呼ばれるものは何人もいる。
彼もそのうちの一人で、魔族と呼ばれる種族。
彼はその魔族のうちでも魔王と呼ばれる種で強力な魔術を扱い、何千、何万と言う数の魔物、魔人の王だ。
そして、命令を受けた少女は一度死に、未来で生き返ったアンデット。
彼女が向った先は、魔神たちと同じ世界——…。

ありとあらゆる世界を取り込んだツギハギの世界。

可能性を追い求める人間は一つの世界には留まらない、ただただ可能性を求め何処にでも行くのだ。
この世界の可能性は、魔術。