ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ツギハギセカイ〜合作小説〜 ( No.31 )
- 日時: 2010/11/07 00:21
- 名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)
「わー! すごい賑やかだね!?」
城下町こと普通の町についた俺たち三人はそのあまりの賑やかさに目を奪われた。
「これは…RPGでいう、武器屋とか防具屋とか鍛冶屋やら何やらある商店街っぽいのじゃないですか!」
鈴音ちゃんが飛びっきりの可愛い笑顔と共にそう声高らかに言った。
この景色で今世紀最大級の笑顔を放つのもどうかと思うが。
だが、確かにそんな感じだった。武器やら何やら色々おいてある。
家の作りとか俺たちの住んでいる世界と全く変わりはないというのに…
雰囲気というか設定みたいなのからして根本的に違うようだ。
「いらっしゃい! 譲ちゃんたち! 何にする!?」
話しかけてもないのに武器屋のおっさんが俺たちに、というか俺以外の夕姫と鈴音ちゃんに話しかけられた
「あーえっと…じゃあ、エクスカリバーで!」
「初っ端から伝説の剣っ!! ないだろっ! てかあったら非常に困るんだが…」
「あいよっ!」夕姫の言葉に笑顔で応じる武器屋亭主。
「あんのかよっ!」
俺はただただ信じられないというような顔をしてその場を見守る。
「ほらよっ!」
と、武器屋の亭主が渡してきたのは
カボチャだった。
「……」
俺はただ呆然としてしまっていた。
「ありがとうっ!」
「って何の不自然も思わずに受け取りやがった!」
夕姫は何の疑いもなく、エクスカリバーこと野菜のカボチャを笑顔で受け取った。
ダメだ…こいつ、正真正銘のバカだ…。
こんなやつが学校の生徒会長なんかになってみろ。どんな学校になるのか想像しただけで…腹が立つ。
「えっとお金…」
夕姫がお金のことを言おうとしたが亭主はそれに対して手を横に振り、
「いや、譲ちゃんたち可愛いからいいよ、御代なんて」
「そんなやすやすと伝説の剣がっ! いや、カボチャがっ!」
見れば見るほど単なるカボチャ。果たしてちゃんと武器として役立つのだろうか…?
「あ、でもそのエクスカリバーは一回キリのものだから普通に剣も渡しとくよ」
「一回キリって何なんだよっ!」
「奏、うるさい!」
うるさいっていわれても…つっこみどころが多すぎるんだよ…。
刀のような刃を持ちながらも幅の広い長刀を受け取ると夕姫は満足そうに引き下がった。
「じゃあ次…譲ちゃんは?」
亭主は次に鈴音ちゃんを見た。
鈴音ちゃんは、笑っていた。不気味に「ふふ…」とかいいながら。
「私はですね…何かすごいものが出せるやつがいいです!」
「すげぇアバウトすぎるよっ!! 要するに何なんだっ!」
鈴音ちゃんの言葉に亭主はさっきの笑顔が消え失せ、ゴクリと唾を飲み込む。
「じ、譲ちゃん…もしかして…あんた…」
…え?何だこの展開。あんなアバウトな用件で何か分かったのだろうか。
「…ちょっと待ちな」
そう亭主は呟いて店の奥へと消えていく。そして持ってきたものは、
ガン●ムが装着してそうな巨大ビームライフル的なもの。
「えらいもん置いてるんですねぇ!?」
俺のつっこみなど気にせず、夕姫と同じ理由っぽい感じで値段はいらないといってビームライフルを渡した
「あの…俺のは?」
そういえば自分の武器がない。思わず亭主に聞く。
「…え? お前いたの?」
「何その態度っ!! ずっといただろうよっ! すげぇブツがこいつらに渡してるのをバッチシみたよっ!」
まあ、エクスカリバーはある意味だが。
「あぁ…じゃあこれやるよ」
と、渡してきたのはすげぇボロそうな杖。
「差別だーッ!」
こういうしかなかった。だがその杖を渡した後に「はっ」と鼻で俺に笑いかけた後、去っていった。
と、いうことで。
俺たちの装備が決まった。
夕姫…エクスカリバーこと外見カボチャ。見た目強そうでかっこいい長刀。
鈴音ちゃん…高圧力ビームライフル的な物体。
俺…いまにも折れそうなボロ杖。
…格差ありすぎじゃね?
といっても何を言おうとも夕姫と鈴音ちゃんは自分の武器にウットリしているため、聞かなかった。
ため息一つ吐き、手にはボロ杖を持つ俺。俺の存在って何なんでしょうねっ!
「あ、職業決めるところじゃない? アレって」
夕姫が指を指した看板に書いてあったのはハローワークという文字。
「違うくないですかね!?」
俺の言葉を無視して二人はハローワークに入っていく。
こいつら…さっきから俺のことスルーしすぎな気がするんだが…。
中に入ると、綺麗な洋風な感じで受付は俺たちの世界のハローワークそのものだった。
「よし…今日から戦士頑張るかぁっ! 魔王でも倒したりしてなっ!」
とか、俺たちの世界で言ってるといかにも厨二病っぽいセリフで出てくる体つきのいい男。
いい歳こいて…戦士とか。何だか笑えたがなんとか堪えて受付へと向かう。
「あ、職業ですね? 何にしますか?」
と、受付の女性が俺たち三人に話しかけた。
職業が一覧と書かれている書類を見ると中にはドリアとか食べ物と思われる職業もあった。
中には爆発物処理班とかなんとも物騒なものまで。てかマフィアもあるんだな…。
ハローワークでマフィアとか爆発物処理班とか生み出されたらさぞかし困るだろうに。
「じゃあ私爆発物処理は——」
「まてえええええええ!!」
全力で夕姫を止める。
「な、何すんのよっ!」
「お前っ! 戦士とかそういう感じじゃねぇか! 何で爆発物処理班を選ぶんだよっ!」
「あ、それもそうかな」
え、今気付きました?この野郎、人をおちょくってんのか。
苛立つ拳を押さえて見守る。
「じゃあ私、英雄で!」
あ、そんなものまであったのか。ハローワークで英雄にもなれるんだね。なんてメルヘンなのだろう。
「私は…魔術師で」
鈴音ちゃんが不気味なニヤケ顔と共に受付の人へと告げる。
次は俺の番のようだ。
「えっと俺は…」
見てみると大半がアホ臭いものばかり。まともなものは少しはあるが…。
とりあえず無難なものを…うん?
「あの…この????って何すか」
「あぁ。裏職業のことですか。それになさいますか?」
「いやいやいや、裏職業って何すか?」
「俗に言う、モンスターだと魔王とかそういう部類のものです」
…聞けば聞くほどわけがわからなかった。
「じゃあそれで!」
「まてぇええ!!」
夕姫が勝手に決定。はい、俺の権限なし。
こうしてそれぞれの職業が決まったようだった。