ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ツギハギセカイ〜合作小説〜 ( No.32 )
- 日時: 2010/11/14 01:54
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
凄まじい轟音が、静かな海を騒がせる。
轟音の正体は津波。
津波とはプレート型地震によって発生する強力な力を持った波だ、その波が向かっている先は漁港。
このままだと、30秒無くて到達するだろう。
漁港が目の前に迫った直後だった、津波が次第に縮小し、湾へ入る時には殆ど消え、波のあったところにはあの船が一隻、ポツンと残されていた。
津波の余力が船を陸地へと乗り上げさせる。
もちろん、帰りは船を海に戻さなくてはならないが、彼女たちにとってはそれ位朝飯前だろう。
「さーて、アーレイン漁港へ到着しましたよっと」
「あのさ、アリソン。元は不死鳥の塔に居たんだから、直接この世界のアーレイン教会へ来るって言うことは考え付かないの? 船経由じゃなくてさ」
ネルの最もな意見にアリソンは納得したかのような表情を向け、ネルは呆れたような表情で苦笑いした。
アリソンは直ぐにポケットを探ると黒いコインのような円盤を取り出し、
「私さ、もう何個か仕事抱えてるからそれ片付いたら戻ってくるから。それまでチョット頑張ってて」
足元に落とすとそれに吸い込まれる様にしてアリソンは消えた。
それを見たネルはやれやれと首を振ると近くの喫茶店へと足を運ぶ。
馬鹿騒ぎをしているような声が入り口を入ったとたん歓迎するかのように耳に入ってくる。
確かここで……
「ネルさん、遅いですよ。先に酒をジャックとか言う人が飲んでますけど、良いんですか? 明らかに未成年ですよ、十七、八歳くらいの」
「別に良いだろ、こんな時間帯から酒売ってるこの店が悪い」
「すごく分かりやすい取替えで」
ネルを席に呼んだ少女がジャックと呼ばれている男を軽く呆れたように睨んだ。
それに対し、ジャックは小馬鹿にするように酒をグラスに並々注いで一気に飲み干す。
ビンを見れば、そのアルコール度数脅威の98%。
普通なら一気飲みなど出来ないのだが、この男は別物だ。
ジャックをネルも呆れたように眺めると、
「ジャック、駄目よお酒なんか飲んでちゃ。未成年でしょ? 流ちゃんの言う事を聞きなさい」
指を酒瓶に向けて炎を放った。
それを見たジャックは、カウンターへと歩いていくと懐から金貨を数枚出して再び酒を購入しようとする。
……何処まで酒に執着してるんだか。
呆れた目でネルはジャックを今度は軽く睨むと、ジャックが金を払って酒を受け取る直前に元の席へと強制転移させた。
「私がこの世界に来たのは仕事のためよ、か・な・り大変な仕事っぽいから実力の伴う貴方たちに集まってもらいました。仕事内容は、異世界同士の均衡を保つこと。で、問題はどうも自然に時空融合が起きたわけじゃないみたいで、人為的なものっぽいんだ。だから、戦闘多数、流血多数でメンタルの強い人が必要なわけ。分かったかな、ジャック君……?」
ネルが話し終わった時にジャックは既に先ほど代金を払った酒を椅子に座って飲み干していた。
この調子で仕事が終われば楽なんだけども……。