ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ツギハギセカイ〜合作小説〜      ( No.43 )
日時: 2010/11/18 20:55
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

不意に、酒場の中が騒がしくなってくる。

どうやら、酒に酔って暴れている輩が居るらしい。 はなはだ迷惑な話だ。

とでも言わんばかりに今しがた酒を飲み終えたジャックは席を立つと騒動の中心へ自ら飛び込んでいく。
それを見て、ネルは呆れたように頭を振ると、

「呆れたわ、ジャックは何処の世界でもジャックね。 何であんなにも酒に執着するのかしら……?」

理解できないと言った表情で流の方を向いた。
それと共に、一人の少年が酒場へ若干怖がりながら入ってくる。 付き添いで来たのか、少年ともう一人、


「サタンちゃんじゃない、どうしたの? 童子君とは別世界のヒトなのに……」

「フン、この男は次元移動は出来ん。ただの人間に次元移動などさせてみろ、体が内側から弾け飛ぶで済めばいいが、魂がその次元の狭間に取り残されてみろ。世界が全て消え失せても永久にそのままだぞ?」


黒い長髪を束ねた男が殺気が篭っていないにもかかわらず有無を言わせぬかのような紅い瞳をネルに向ける。 少し怒っているらしく、その瞳でネルを軽く睨んだ。魔神の仕事上、どうしても人間が時空を支配して歴史を変えぬようにタイムマシンの発明や、時空移動に関する様々な事の抹消も仕事のうち。
そう、サタンは魔神の仕事を知っている。 つまり、その視線はネルに対し、

職務怠慢だ

と言っているのだ。
ましてや、魔神がそれを生身の人間に意図的にやらせるなど持っての他だ。

サタンがネルを睨みつけたその直後、店内の馬鹿騒ぎが一気にピークに達し、二人の間を人間が数匹飛ばされてくる。
もちろん、それの原因はジャックの夢想。 そして、見事なまでに全員が気絶と軽傷だけで、死んだ者はおろか、骨を折ったものさえ一人も居ない。
それを確認し、サタンがジャックのほうを向くと、


「……ジャックと言ったな。貴様、この仕事を下りろ」