ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ツギハギセカイ〜合作小説〜      ( No.45 )
日時: 2010/11/20 22:35
名前: Nekopanchi (ID: 8keOW9sU)

ある世界の、ある森のある場所に薄手のワンピースの様な黒い衣服を身に纏い、背中には漆黒の翼をもった一人の少女が立たずんでいた。彼女の名前は『名無し』。名前が無い事が彼女の名前だ。
そして彼女は最初から一人だった訳ではない。先程まで犬神という名の妖怪と漣 直哉という名の人間と共にいたのだ。だが突然空に、地面に、いや、その世界にヒビが入り、地が割れた。そしてそこに落ちて、この有様だ。

「……むー……困ったナあ……あの人間はとモかく、犬神と逸れちゃウなんて……」

名無しは『むー』と唸りながら眉間にシワを寄せる。

とは言ってもこのまま途方に暮れるほど名無しは子供では無い。いや、元々子供なのは外見だけなのだが。

名無しは唸るのをやめると、かわいらしくのびを一回してから背中の黒い翼を広げる。その翼の幅は広く、彼女の背丈は軽く越えていた。

そしてその翼をゆっくりと、力強く羽ばたかせ始める。

「……はあ、面倒だナあ……」

彼女は誰に言うまでもなく、ただ、呟き、その場に土煙だけ残して飛び立った。