ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ツギハギセカイ〜合作小説〜      ( No.48 )
日時: 2010/11/22 17:26
名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: .RPx9Kok)

ひゅおおおん。

風が吹く音。とある高層ビルの屋上。
その高層ビルは他の聳える摩天楼達に比べて一層際立って高い。
明りの無い漆黒の闇に包まれた天空でさえも、
わずかな街灯が照らすだけの寂しい街並みさえも其処から眺めれば様になる程に。

・・・その世界で一番高いとも思われる漆黒の建造物の頂点に、人が一人。

男は黒い仮面を着け、黒いコートを着込んでいる。
コートに着いたフードを深く被っているので、丁度目の辺りまで見えない。

男は佇み、漆黒の闇を見据える。これから迫りくる運命の争いを見透かすかのように。

「バイオレット」

不意に、彼の後ろから彼を呼ぶ低い声。
彼が振り向いた先には、一人の男。
「仕事だ」






「侵入者と、裏切り者・・・か」
モニターの光が辺りをわずかに照らす一室。
先程『バイオレット』と呼ばれた黒い仮面の男はモニターを見て、呟く。
「そいつらの始末が、お前の今回の仕事だ」
黒い仮面の男ではない、もう一人の黒い衣服を身に纏った男が言う。
「人手は?」
「お前の部下ならば使って構わない」
「こいつらの現在地は分かっているのか?」
「侵入者の現在地は1番区。裏切り者は12番区に居るだろう」
「侵入者はともかく、裏切り者はアンタなら今すぐにでも息の根を止めることができるんじゃないか?」
「お前のコピーだろう?バイオレット。お前が始末した方が滑稽で面白い」
黒い衣服の男はククク、と楽しそうに笑い、言う。
「・・・悪くは無いな」
黒い仮面の男・・・バイオレットは言った。
「・・・それにしても、お前がこちら側に付いてくれるとは意外だったぞ。
 他の『招かれざる客』達にはさぞ憎まれるだろうな」
黒い衣服の男のその言葉を聞くと、バイオレットはフ、と嗤い言い放った。
「興味が無い、そんなこと。只俺が楽しければそれでいいさ」
バイオレットは踵を返し、部屋の出口の方へと。
「・・・心強いな」
黒装束の男は言う。



「期待しているぞ・・・バイオレット」