ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ツギハギセカイ〜合作小説〜 第1話更新開始 ( No.6 )
- 日時: 2010/09/18 18:09
- 名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
とある島の、とある塔の中。
金色の髪を束ね、ふざけた表情のシルクハットを被り直しながら一人の青年と何かの交渉を行っていた。
交渉内容は、魔力異常の解消という魔神の仕事のひとつだが、どうもそれは彼女の管轄世界の話ではなかったのだ。
少女はため息をつきながら、
「初代の依頼ですか。また断り様の無い話を持ってきますね、ヴァムさん」
「ええ、断らないでいただきたい。私共の管轄世界での魔力による異常の解消は三賢者としての義務ですし。何よりネル、貴方特有の力はとても心強いものですご協力頂けませんか?」
「いいよ、今から向おう」
依頼を引き受けた。
塔の一番上の扉の鍵穴にダイアルの付いた鍵を差し込むと、ダイアルを回して扉を開く。
そこからは驚く事に、繋がっていたのは海賊船の甲板。
この鍵は、数字設定した所に扉をつなげる事ができるのだ。
甲板で気持ちよさそうに寝ている紅色のフック船長のような服装の金髪女をゆすって起こす。
彼女もまた魔神の一人で、アリソンと呼ばれる最初の一人であり、その強さは魔神のなかでも群を抜いている。
ゆすられて、彼女もまた眠そうなまぶたを無理やりこじ開ける。
そして口を開き、
「あぁ、ネル。悪い……巻き込んじゃって」
「元々、貴方一人では手に負えないほどの世界が存在するから私たちを魔神に任命したんでしょ? それくらいやるわ」
身支度を始めた。
左右のイヤリングを付け直し、無駄口を叩く大鎌を背負い、無数の刀剣の形をしたアクセサリーをベルトに引っ掛ける。
今のアクセサリーたちは魔力を注ぎ込む事でさまざまな効果を発揮する魔法道具。
そして、その長い髪をもごもごと探ると紅く小さなモルモットにも似た龍を引き釣り出す。
その龍は、止めろとでも言わんばかりに小さな手足とそれに似合わない長い尻尾と翼をバタつかせた。
「ミゲル、仕事よ。アリスは先に行ってるから次に黒薙童子君を連れて行かないと——…」
「黒鳶さんはどうしたのですか?」
ヴァムが忘れていませんか? とでも言わんばかりに聞く。
「黒鳶ちゃんは私が時の横断幕に依頼したからサタンが連れて行ってるはず。じゃあ、私たちもいくよ」
そういうと、海賊船の内部へと続く扉に先ほどの鍵を差し込むとドアノブを回した。
目の前に広がるのは穏やかな海。
問題など何も無いように思えた。