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Re: 『FORTUNA フォルトゥーナ』 ( No.6 )
日時: 2010/11/11 18:41
名前: 螺旋の階段 (ID: U3CBWc3a)

【01】


2010年 1月1日  東京______


元旦と言われる今日、ネオンで輝いている東京の夜景に雪が降っている。
そんな中、住宅街の真ん中を歩く1人の青年がいた。

「ったく・・・なんで俺が年越し蕎麦なんか・・・・・・」

右手に蕎麦の袋詰めが入ったビニール袋を持ち、左手をポケットに突っこんでいる。
青年、神谷蓮は妹に頼まれて蕎麦を買い、その帰りの途中だった。
「綺麗だなぁ。雪なんて、東京で見るの久しぶりな感じがする・・・」
蓮は空を見上げ、思わず微笑んでしまう。
辺りは夜中だけあって閑散とし、蓮の呼吸音しか聞こえない。

「さてと、行くか。」

蓮は歩き出し、カーブを左に曲がろうとしたその時だった。


ドン!!


「痛って!!!」


「きゃっ!!」


カーブを曲がった瞬間、蓮は謎の少女とぶつかった。
2人は尻もちをつき、蓮はビニール袋を落とした。
「ご、ごめんなさい!!大丈夫?」

「あ、うん・・・」
蓮は思わず、少女の顔に見とれてしまった。
白いコートを着ており、蓮と同じぐらいの少女である。
少女はビニール袋を拾い、蓮に渡した。
「ごめんね。それじゃ・・・」
「あ、ありがとう・・・・ん?」
少女が走りいく際、少女のポケットから指輪が落ちた。
蓮は振り向き、少女を呼びとめる。


「ちょっと!!指輪落としたよ!!!」


「え?・・・・あっ!!!触っちゃだめ!!!!!」




「?」




蓮は雪の上に落ちた指輪を拾った。
その直後だった。

「うっ!?」

体に激痛が走り、手足の感覚が一瞬で無くなった。
蓮は雪の上に倒れ込み、謎の痙攣を起こし始めた。
「嘘!?触っちゃったの!?」
少女は駆け寄り、蓮の隣にしゃがみ込んだ。
「・・・・ごめん・・・・・・いつか、必ず助けに来るから・・・・」
少女はそう言うと、蓮の元から大急ぎで走り去っていった。

「お、おい・・・あれ?」

蓮の痙攣は突然止まり、手足の感覚も戻り始めた。
蓮は立ち上がり、後ろを見たが、すでに少女の姿は消えていた。
「な、なんだったんだよ・・・・さっきの・・・・・」
蓮は首を傾げて悩んだが、ビニール袋を持ちなおし、急いで自宅へも戻っていった。

だが、この出会いが──────


蓮の人生を大きく変えるのであった──────