ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 『FORTUNA フォルトゥーナ』 ( No.7 )
- 日時: 2010/11/11 18:41
- 名前: 螺旋の階段 (ID: U3CBWc3a)
【02】
蓮は自宅である2階建て一軒家の家に着くと、玄関にビニール袋を置いた。
すると、居間の方から妹である麻衣がやってきた。
「さっすがお兄ちゃん!!サンキュー♪」
「はいはい・・・・」
蓮は適当な受け答えをすると、急いで2階の自分の部屋に向かう。
麻衣は、蕎麦が入った袋を持ってキッチンの方へと走って行った。
「しかし・・・さっきの痙攣と麻痺は一体・・・・・」
蓮は部屋に入ると、ベットの上に寝転がり、天井を見つめる。
頭の中に、先程であった女の子の顔が鮮明に思い浮かんだ。
整った顔、パッチリした目、肌は白く、どこか自分とは違う感じがした____
「あの子、子の近くに住んでいるのかな・・・・」
蓮は思わず、そんなことを考えていた。
ベットから起き上がると、窓の外の景色を見つめる。
未だに雪は降り、まだ外は暗い。
「さてと、1階に降りよう・・・うっ、くしゃみでそう・・・・・」
蓮は両手で口を覆い、くしゃみをした。
その瞬間だった。
ビュォォォォォ!!!!!!!
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
くしゃみをした瞬間、部屋の中に突風が巻き起こった。
壁に掛けていたカレンダーやポスターは簡単に外れ、椅子や文房具類、教科書が部屋中を飛び回る。
「な、なんだよ!?」
蓮も突風に煽られ、壁に叩きつけられながら部屋を飛び回った。
左右上下は分からず、最早突風はめちゃくちゃに吹いている。
そして、蓮は部屋のドアに叩きつけられ、そのまま廊下に倒れ込んだ。
「痛って!!!」
その直後に、部屋の中に吹いていた突風は止み、椅子や教科書が次々に床へと落ちて行く。
激しい物音に、1階から大慌てで麻衣が上がってきた。
「ど、どうしたの!?」
「風が・・・・突風が・・・・・」
蓮は部屋に指さすが、ただ部屋の中が散乱しているだけ。
「窓開いてないじゃん。彼女に振られたからって、暴れないでよね!!」
「なっ!?い、いつの話ししてんだよ!!」
蓮が怒鳴ると、麻衣は笑いながら1階に戻っていった。
──────
蓮は部屋をある程度片付けると、1階へと降りて行った。
居間に着くと、すでにコタツの上には年越し蕎麦が置かれてあった。
「お兄ちゃん、食べよう!!」
「あぁ。まっ、年越したけどな。」
蓮と麻衣はコタツの中に入ると、箸を手に取り蕎麦を食べ始めた。
「紅白も終わったし・・・24時間テレビぐらいか。」
蓮はリモコンを手に取り、チャンネルを変えて行く。
すると、臨時ニュースのチャンネルに目を奪われた。
「ん?なんだ?」
女性キャスターが、ADから書類を受け取り、単調に喋り始めた。
『先ほど入ったニュースをお伝えします。午前2時ごろ、東京都世田谷区の住宅街で男性の変死体が発見されました。詳しいことは分かっておりませんが、警察が現在現場に向かっている途中とのことです。更に、犯人と思われる2人組が目撃されており、その内1人が白いロングコートを着ていたという情報が入っております。世田谷区に住む住民の皆様方は、この時間帯の外出は気を付けてください。』
麻衣はニュースを見ると、目を細めた。
「うわっ〜、ここじゃん!!怖っ!!!」
「白いロングコート・・・」
蓮は女性キャスターの言った言葉を復唱し、あの女の子の姿が思い浮かんだ。
「ま、まさかねぇ〜・・・・・」
蓮は半信半疑で苦笑いすると、蕎麦を啜った。