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Re: 『FORTUNA フォルトゥーナ』 ( No.8 )
日時: 2010/11/11 18:42
名前: 螺旋の階段 (ID: U3CBWc3a)

【03】


元旦から数週間後  


蓮は高校登校日を迎え、麻衣も中学登校日を迎えていた。
麻衣はすでに家を出ており、蓮も今自宅を出ようとしていた。
「手帳も持った、筆箱も持った、よし!!行くか!!」
蓮は自宅から出ると、鍵を閉めて学校へと向かい始めた。
道にはまだ雪が積もっており、パラパラと雪も降っている。

「お〜っす、蓮。」

「よぉ、久しぶりだな。六志。」

蓮が道路に出た時、蓮と同じ高校に通う黒崎六志が歩いて来た。
六志はマフラーを巻き、顔半分を覆い隠している。
「バスケの調子はどう?」
「県大会出場だよ。1年生のエースなめんなよ。」
六志は笑いながら言うと、蓮もつられて笑った。
こんな日常が永遠に続くと思ってた。

だが、忘れた頃に蓮は再び思い出すことになる。

数週間前の出会いを______


───────


「校長の話し長いなぁ〜・・・・」


1時間目は始業式で終わり、2時間目のホームルームで今日は終わる。
蓮たちは1−1の教室に入り、自分たちの机に座っていく。
「ん?」
蓮は窓側の一番後ろの席に座りながら首を傾げた。
後ろの列は蓮しかいない筈なのに、なぜか机と椅子が2つずつある。
「六志、これ何?」
「知らねえよ。転入生とか?」
「この時期にかよ・・」
蓮は前に座る六志と話をしながら、時間潰ししていた。


「静かにせぃ。」


担任である尾上は、ダルそうな喋り方で教室に入ってきた。
生徒たちは話すのを止めて前を向く。
「今日から、このクラスに転入生が来た。しかも2人だ。」
尾上の言葉を聞いた瞬間、30人全員が歓喜の声をあげた。
蓮は自身の隣にある空白の席2つを見て、確信した。
「ここに来るのか・・・」
尾上はドアを開け、手で合図をする。
すると、2人の転入生が入ってきた。どちらも女子だ。

「北海道から転入してきた雪白真奈です。」

「私は都内の高校から転入してきた東風奈です。」

2人はどちらとも可愛らしく、男子の目は輝いていた。
しかし、この男だけは違った。



「あ・・・・あ・・・・・・」



蓮は、雪白真奈を見た瞬間唖然とした。元旦の日に出会った女子であったのだ。
しかし、真奈は蓮と目が合っても驚く様子はない。
「よぉし、んじゃぁ2人は、あの馬鹿面の隣に座ってくれ。」
「ば、馬鹿面って・・・・」
尾上の発言に、全員は大爆笑した。蓮はため息をつく。
真奈と風奈は後ろに来ると、真奈が蓮の隣に座り、風奈が真奈の隣に座った。

「よろしく。神谷蓮君。」

「・・・・と、とぼけんなよ・・・・」

蓮は恐る恐る、真奈に呟いた。
すると真奈は表情を変え、小声で話しかけてきた。
「後で話しましょう。聞きたいことがあるでしょ。」
蓮はその言葉で、真奈の顔を見る。
真奈は不気味な笑顔を浮かべ、蓮は寒気がした。

「こいつ、何者だ・・・・・?」