ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─オーバーゲーム─10話UP♪ ( No.102 )
日時: 2010/10/19 19:28
名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)

【11】

B棟 ‘水の間’ 5階 音楽室


「ぐっ!!」

振り下ろされたパイプ椅子を避け、四門はカーテンに身を包んだまま床に転がる。
菜々美は滑稽な四門の姿を見て、思わず不敵に笑った。

「見っとも無いわね・・・。平田四門もここまでね。」

菜々美はパイプ椅子を持ちなおすと、四門に近づいて行く。
四門は立ち上がると、身を纏っていたカーテンを脱ぎすて、そのまま菜々美に覆いかぶせた。

「なっ!!邪魔よ!!!」

菜々美はカーテンを急いで退かし、辺りを見渡した。
しかし、四門の姿はどこにもない。
菜々美はパイプ椅子を捨てると、急いで後ろを振り向こうとした。

だが、遅すぎた。


「甘いな、菜々美・・・・」


「・・・・・・醜い顔になってわね。」


菜々美が後ろを振り向くと、そこには鼻が潰れて額に大きな切り傷を負った四門がいた。
四門は菜々美の腹部にパンチを喰らわすと、そのまま蹴り飛ばして壁に叩きつけた。

「三谷とその他は俺が殺す。まずは、お前からだ。」

四門はそう言うと、腰からとんでもない物を取り出した。
黒い物体、それは生徒が持っている筈のない拳銃であった。
菜々美は驚きのあまり、言葉を失った。



「四門、殺すのだ。」



菜々美の後ろから、突然野太い声が聞こえ、ドアがガラリと開く。
無償髭を生やし、髪がボサボサで、足首まである漆黒のロングコートを着たゼロが立っていた。

「誰・・・・?」


「まぁ、どうせ死ぬのなら教えてやろう。このゲームの主催者を知っている男だ。」


「な!?」


菜々美は唖然とした表情で、ゼロの顔を見上げる。
四門は拳銃を倒れている菜々美の心臓に突きつけた。

「菜々美、天国に逝った歩夢によろしくな。」

「し、四門・・・・待っ・・・・・」



パン!




一発の乾いた銃声音と共に、菜々美の首をガクリと落ちた。
四門は拳銃をゼロに渡すと、ゼロは不気味に微笑み口を開く。

「真実を見るか?」

「あぁ。それに、あんた達の仲間に入れてくれ。」

「大歓迎だよ。それじゃあ、行こうか・・・・」


ゼロはそう言うと、四門と共に音楽室から出て行った。
そして、心臓を撃たれ死んだ菜々美だけが音楽室に取り残された。


──────────


4階  化学実験準備室


京介、志村、洋一郎は、教室に当真達を残して3人だけで来ていた。
準備室の中に入ると、薬品の匂いが京介達の鼻を刺激する。

「ここにヒントがあるんだろ・・・・」

準備室の広さは、薬品を収納している棚のせいで狭く、座る場所などない。
志村が部屋の奥まで入り、棚の中を隅から探し始めた。
京介と洋一郎も棚を漁り始める。
珍しい気体が詰まった瓶、硫酸や塩酸、危ない液体が入った瓶まで揃っている。
3人はヒントとなる物を懸命に探すが、どこを見てもない。

「暑い!!俺ちょっと部屋出る!!」

元々、細かい作業が嫌いな洋一郎はすぐに飽き、部屋を出て壁に寄りかかった。
風に当たるつもりだったが、窓は相変わらず鉄板で塞がれている。


「・・・・てかよ、なんで外の人間は気付かねえんだ?」


洋一郎はそんなことをふと思い、窓に近づいて鉄板を触る。
ひんやりと冷たい鉄板は、触っただけでどれ程の厚さか理解できた。



「・・・なんか、変だな・・・・・・」