ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─オーバーゲーム─11話UP♪ ( No.106 )
- 日時: 2010/10/20 20:15
- 名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)
【12】
B棟 ‘水の間’ 4階 化学実験準備室
かれこれ10分が経ち、京介と志村もヒントを探すのを諦めていた。
化学薬品が並ぶ棚をどれだけ探しても、怪しい物やヒントになる物はない。
京介はため息をつくと、無言で準備室から出た。
「何もねえだろ?」
「あぁ・・・まったく・・・・・」
京介は、外で休んでいる洋一郎の隣に座った。
洋一郎は欠伸をしながら、大きな背伸びをする。
一方、そんな2人とは対照的に、志村は棚を探し続けていた。
「棚にはなさそうだな・・・。」
志村はそう呟くと、ふと床を見る。
だが、何もない。そして、天井を見上げた時にようやく気付いた。
「ん?」
天井に、謎の扉がある。
志村は不審に思い、小さな扉を開けた。
それは、通気口へと繋がる入り口だった。
「なんでこんな所に通気口が・・・・・」
志村は通気口の中に顔を入れ、薄暗い先を見つめる。
なぜか、通気口の中には嗅いだ事のない異臭が漂っている。
しかし、志村にはそれ以上の疑問が思い浮かんでいた。
「設計上、こんな場所にA棟へつながる通気口はない筈・・・・。どうなってる・・・・・」
志村は疑問を抱きつつ、外にいる京介と洋一郎の元へ向かった。
2人は志村が出てきたのを見ると、顔色を変えて志村を見る。
「A棟につながる通気口を見つけた。教室にいる宮本先生達を呼んできてくれ。」
「マジかよ!!俺が呼んでくるぜ!!」
洋一郎は歓声をあげて喜ぶと、教室へと走っていった。
志村は京介を見ると、手招きして準備室へと入る。
「三谷はここにいてくれ。危険がないか、俺が先に行ってくる。」
「分かりました。気を付けてください。」
「大丈夫だったら、通気口の壁を3回叩く。何かあれば、5回叩く。」
志村はそう言うと、天井の裏にある通気口へとスルリと入った。
そして、A棟へと向かったのだった。
───────
A棟 ‘毒の間’
謎の異臭が漂うA棟の中、すでに1人の人物がゲームクリアを果たしていた。
ゴール地点である1−2の教室内には、鉄製の椅子15脚が、サークル状に並べてある。
全員が向かい合うように内側を向いている。
『摂津希世志、SECOND STAGEクリアです。』
左目に眼帯を付けた摂津希世志は、1−2の教室に入った瞬間不気味に微笑んだ。
「あいつらと一緒にいなくて正解だったな。」
希世志はそう言うと、1ー2の教室を出て廊下を見る。
廊下には、3年生である斉藤悠馬が血まみれで倒れていた。
悠馬は口、目、耳、あちこちから出血しており、すでに瀕死の状態だ。
「摂津・・・おま・・・・え・・・・・・」
「斉藤先輩、不運でしたね。」
希世志はそう言うと、悠馬の頭を掴んで投げ飛ばした。
悠馬はそのまま廊下を転がり、壁にぶつかって止まった。
その時だった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
悠馬が壁に触れた途端、ジュゥゥゥゥという焼ける音がフロアに響いた。
そう、壁には大量の硫酸が塗られてあるのだ。
悠馬は背中に大やけどを負い、そのままショック死してしまった。