ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─オーバーゲーム─13話UP♪ ( No.109 )
日時: 2010/10/21 20:01
名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)

上も下も右も左も真っ暗な場所─────


玲奈は闇の中にいた。


「・・・京介?みんな?」

玲奈は闇の中に、1人ポツンと立っていた。
周りには誰もいない。



「・・・・っつ・・・・・しろ・・・・・・」



「え?」



玲奈の耳に、聞き覚えのある声が聞こえた。
その声の主は、FIRST STAGEで死んだ宗一郎の声だった。

「宗一郎!?どこ!?」

「だっ・・・・つ・・・しろ・・・・・」

「聞こえない・・・・」

玲奈は辺りを見渡すが、宗一郎の姿はどこにも見えない。
だが、耳には雑音混じりだが、確かに宗一郎の声が聞こえてくる。



「脱出しろ!!!!」



─────────

【13】

B棟 ‘水の間’ 4階


「はっ!!」


気絶していた玲奈は、宗一郎の叫び声と共に飛び起きた。
周りにいた宮本、当真、アルジーは驚いて玲奈を見つめる。

「玲奈ちゃん!?大丈夫?」

「は・・・はい・・・・・・」

玲奈は宮本に声をかけられ、頭を触りながら周りを見渡した。
当真は玲奈に近づくと、顔を合わせてきた。

「ここはB棟だ。それより、大丈夫か?」

「うん。京介は?」

「まだ生きてるよ。今、このフロアの奥に行ってる。」

当真が説明を始めた時だった。
ドアが勢いよく開き、洋一郎が息を荒げて教室に飛び込んできた。


「C棟への道が見つかった!!早く来い!!!」


洋一郎は満面の笑みでそう言うと、玲奈が気を取り戻したことに気が付いた。
玲奈は洋一郎の顔を見ると、何度か頷く。

「大丈夫か?あんまり、無理すんなよ。」

「ありがとう。」

洋一郎はそう言うと、一足先に教室を出て言った。
当真、玲奈、アルジー、宮本は顔を合わせると、急いで教室を出て、化学実験準備室へと向かった。


──────


化学実験準備室


準備室の中で、京介は先に行った志村の合図を待っていた。
3回叩く音が聞こえれば安全、5回叩く音があれば危険という合図も理解した。
京介は通気口の中を覗きこみ、合図を待った。
すると、遠くからこだまする様に微かに音が聞こえてきた。


コン・・・コン・・・・・・コン・・・・・


「3回だ、つまり安全か。」

京介はガッツポーズをして、思わず喜んでしまった。
と、合図が聞こえたと同時に、洋一郎達が丁度やってきた。


「・・・京介!!」


「!!!」



京介は玲奈の笑顔を見ると、思わず涙が出てしまい、安堵の息を漏らした。
玲奈は京介に向かって走り、そのまま抱きつく。
京介は一瞬驚いたが、玲奈のぬくもりを感じて、少しの間だけオーバーゲームのことを忘れた。

「・・・んじゃ、俺らは先に行ってるよ。」

洋一郎は京介の肩をポンと叩くと、そのまま通気口の中へと入っていった。
続いてアルジー、宮本、当真と入っていく。
京介は玲奈の顔を見ると、笑顔で言った。

「良かった。大丈夫?」

「うん。それより、気絶してた時に宗一郎の声が聞こえたの。」


「え?」


京介は玲奈の言葉を聞いて、唖然とした表情になる。
玲奈はとりあえず、気絶していた時のことを京介に話した。

「彼の姿は見なかったけど、脱出しろって叫んでた。」

「・・・この学園からだろ。さぁ、行こう。」

「うん!!」

京介の言葉で、2人は通気口へと入り、A棟へと目指した。



しかし、この時2人は気付いていなかった。







────脱出しろ────





この言葉に、とても深い意味が込められていることに________