ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─オーバーゲーム─14話UP♪ ( No.114 )
- 日時: 2010/10/23 11:31
- 名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)
【14】
A棟 ‘毒の間’ 4階 廊下
最初に到着していた志村の目の前には、予想を越えた光景が広がっていた。
「なんだ・・・ここは・・・・・・」
壁に塗られた大量の硫酸_____
空気中を漂うアンモニア臭_____
その場に立っているだけで、意識を失いそうな状況だった。
志村は口と鼻を塞ぎ、辺りを見渡す。
すると、通気口からアルジー、当真、宮本、洋一郎が出てきた。
「うおっ!?くさっ!!!」
洋一郎は鼻を塞ぎ、勢いよく咽た。
他の3人も悪臭に表情を変え、鼻を塞ぐ。
「三谷と山本は?」
「もうすぐ来ます。」
「そうか・・・、俺は残って三谷達と来る。宮本先生は、この子たちを連れてゴールへ急いでください。」
「分かりました、気を付けて・・・。」
宮本は当真、アルジー、洋一郎を引き連れ、ゴール地点の1−2の教室へと急いだ。
志村は4人が行ったことを確認すると、通気口へと視線を変える。
すると、京介が顔を覗かせ出てきた。玲奈も続けて出てくる。
「ぐっ・・・何だこれ・・・・」
「うわっ・・・・気持ち悪・・・・」
京介と玲奈も刺激臭に耐えきれず、急いで鼻をつまんだ。
志村は2人を見ると、笑顔で頷いて口を開く。
「よし、急いでゴール地点を目指すぞ。時間も残り少ないだろうしな。」
志村の言葉に、京介は頭の中で今までのことがフラッシュバックで蘇った。
その時、京介の目から大量の涙が溢れだす。
隣にいた玲奈は驚き、京介の手を掴んで首を傾げた。
「どうした・・・の・・・・・?」
「い、いや、ここに来るまでの道のりが、あまりにも辛かったから・・・・・」
「だから前に進むのだろう。死んでしまった仲間のために、このゲームをクリアして主催者を倒そう。」
志村の言葉に、京介は涙を拭いて大きく頷く。
玲奈も笑顔で頷くと、3人は5階へと上がり、1−2の教室へと向かった。
─────────
A棟 5階
志村、京介、玲奈が5階へと上がると、そこには先へ行った宮本達がいた。
宮本、当真、アルジー、洋一郎は足を止め、なぜか廊下を見つめている。
「どうした?」
「そ・・・それが・・・・・・・」
志村が尋ねると、宮本は前方を指さしながら口を開く。
「これは、一体どう進めばいいのですか・・・・」
志村と京介と玲奈は階段を登り終え、廊下を見た。
そして、そこには見たことのない絶望の光景が広がっていた。
天井から雨漏りの様に落ちている硫酸
それは、壁を伝い、床に広がり
廊下の四方八方が硫酸まみれの状態だ
7人はこの光景に呆然とし、考えることを止めた。
ゴールは見えている。
だが、絶対に進むことが不可能な道が立ちはだかっている。
SECOND STAGE 最終試練_____
硫酸の道─────