ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─オーバーゲーム─15話UP♪ ( No.118 )
- 日時: 2010/10/24 13:15
- 名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)
【16】
A棟 ‘毒の間’ 5階
京介、玲奈を乗せたドアは、硫酸の上を滑り、洋一郎たちの手で止められた。
ゴールは目前だが、京介と玲奈の顔に喜びの表情は浮かばない。
「あれ?志村先生は?」
宮本が逸早く、志村がいないことに気が付いた。
そして、すぐ様理由が分かった。
「嘘・・・・そんな・・・」
「宮本先生、志村先生は残りました。・・・・先へ行きましょう。」
京介は涙を流さず、拳に力を入れて立ち上がり、1−2の教室へと向かった。
玲奈は我慢できず、涙を流しながら1−2の教室へ歩く。
洋一郎、アルジー、当真は呆然とした表情で廊下の先を見据えていた。
「いやよ・・・・志村先生・・・・・・・」
宮本は膝から崩れ落ち、大声をあげて泣き叫んだ。
「あぁぁぁ!!!そんな!!志村先生ぇぇぇぇ
!!!!!!!」
「宮本先生!!もう無理です!!時間がない、急ぎましょう!!!」
当真はアルジー、洋一郎と共に宮本を引っ張り、1−2へと向かったのだった。
───────
「・・・俺もここまでか。」
志村は6人が行ったことを確認すると、ため息をついて床にしゃがみ込んだ。
残ったドア1つの上に座り、天井を見上げる。
「さてと、ゲームオーバーのプレイヤーはどうなることやらか・・・・・」
「SECOND STAGEで脱落した者は、殺すことになっている。」
志村は突然の声に驚き、後ろを振り向いた。
なんとそこには、月の模様が描かれた仮面をしたムーンが立っていた。
志村は目を丸くして言葉を失った。
「私のことは覚えているかな?FIRST STAGEを務めたムーンだ。」
「てめぇ・・・。ゲームオーバーになる前に、お前だけでも殺してやるよ!!!」
ダッ!!
志村は走りだし、ムーンに回し蹴りを喰らわした。
しかし、ムーンは片手で蹴りを止めると、左手で志村の顔面を殴る。
「ぐっ・・・」
「たかが普通の人間が、我々の邪魔をするな。」
カチャ・・・・
ムーンは腰から拳銃を取り出し、志村の頭に狙いをつける。
しかし、志村は拳銃の銃口を右手で覆い隠した。
「お前、馬鹿か。」
「やってみろ。」
バン!! ガキン!!!
「!?」
発砲した弾は、志村の右手に当たると金属音を奏でた。
ムーンは仮面をしていて表情が読めないが、これには驚いていることが分かった。
「貴様・・・何者だ?」
「俺はただの数学教師だ。おらぁぁぁぁ!!!!!」
志村は右手を振りかざし、ムーンの両足をなぎ払う。
その瞬間、ムーンの右足は変な方向に曲がり、バランスを崩して倒れた。
「ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
ムーンは変な方向に曲がった右足を見ると、志村の右手に視線を変えた。
志村はカッターシャツを脱ぎすてると、戦闘態勢に入る。
「お前の右手・・・・一体どうなってる?」
「ダームスタチウム製の義手だ。象が踏んでも、マグマに投げ込んでもビクともしない。」
ムーンはその言葉を聞くと、益々謎が増えた。
なぜ、ただの数学教師がそんな物をつけているのか。
「貴様、本当に何者だ・・・・」
「俺は元陸軍第1戦闘部隊隊長及びに日本総理大臣護衛官、志村陣だ。」