ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─オーバーゲーム─5話UP☆ ( No.15 )
日時: 2010/09/23 19:28
名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)

【06】

FIRST GAME開始から約1時間。とうとうクリアする生徒が現れ始めた。
その分、他の人間はビー玉を更に必死に探し始めるのであった_____


──────

C棟 1階


教頭である馬場と職員に支配された1階では、新たな動きが見え始めた。
職員室の校長席に座る馬場は、ビー玉を探す職員に暴言ばかりを吐いていた。

「早く探すんだ!!校長が不在の間、この学園は私が責任者なんだぞ!!死ぬわけにはいかない!!」

馬場は適当な御託を並べ、実際には楽をしていたのだ。
そんな馬場に対抗する職員はおらず、ただただ言いなりになっていた。
だが、ここである人物が行動を起こした。

「教頭先生!!あなたも探したらどうですか!?」

保健室の先生である宮本早百合が、大声で怒鳴りながら馬場に歩み寄る。
しかし、馬場は平然とした顔で鼻で笑った。

「この職を失いたいのか?君はまだ24歳だ、お金が必要だろ?」

「なっ・・・・」

馬場の最低な言葉に、宮本やその場にいた教職員は唖然とした。
最早、馬場は職権乱用をしている状態である。


「はぁ・・・最低だな、あんた・・・・」


「ん?おやおや、君もそんなことを言っていいのか?」


教頭と宮本の間に、ボサボサ髪に無償髭を生やした男性職員が現れた。

「し、志村先生・・・・」

「志村君、君は誰に対しての喋り方か分かってるのかね?」


「あ・ん・た・だよ!!!!」


志村陣は、語尾を強調しながら馬場の顔面にパンチを喰らわした。
馬場は突然の攻撃に何もすることができず、そのまま後ろへと倒れ込んだ。
宮本は呆然とした表情で志村を見つめる。

「教頭、最低な人間だな。」

志村はデスクの上にある縄跳びを持ち、馬場の手足を縛り始めた。
すると、ほかの職員も志村に手助けを始める。

「き、貴様ら!!こんなことしてただで済むと思うなよ!!!!」


「分かってますよ。ハゲ。」


志村のその言葉で、馬場は悔しがりながら俯いた。
手足を縛った馬場を無視し、志村は10数名いる職員の方を振り向く。

「これから生徒たちを助けるために動く。みんな、我々は職員であり大人だ。生徒を助けるぞ。」


「おぉーーーー!!!!!!!」


この時、ゲームが開始して初めて職員の心が一つとなった。
宮本は志村と顔を合わせると、笑顔で頷いた。


──────


C棟 4階


京介、玲奈、宗一郎の3人は4階でビー玉を探していた。
3人はガランとした特別教室へと足を踏み入れた。

「ここにあるの?机といすが3つだけ。探す必要ないでしょ・・・・」

「俺も同感。ここはないだろ・・・・」


「そういう思い込みで、誰も探さないんだよ。」


京介はそう言いながら、教室の真ん中に置かれている机の中を覗きこむ。
中を覗くと、そこには1個のビー玉が乏しく置かれていた。
京介はビー玉を2人に見せると、2人は笑顔でガッツポーズを見せた。

「よっしゃ!!」

「京介さっすが!!!」

「おいおい・・・とりあえず、これで2つ目だ。」

京介はビー玉を宗一郎に渡す。
宗一郎は驚いた表情で京介の顔を見た。

「え・・・い、いいのか?」

「いいよ。残り1個ぐらい早く見つかる。3人で一緒にクリアするんだ。持ってて。」


「ありがとう、京介。」


宗一郎はお礼を言い、3人は顔を合わせる。
と同時に、玲奈はこの時ある異変に気付いた。

「てかさ、なんで外のみんなは学園の異変に気づかないんだろう・・・・」

「そういえば・・・そうだな・・・・」

学園すべての窓が鉄板で塞がっている光景を外で見れば、大騒ぎになるはずだ。
それに、パソコン室で起きた大爆発。だが、鉄板の向こうから何の音もしない。


「今思えば、ここって本当に常崎学園の校舎なの?」


「は?何言ってんだよ。構造も教室も廊下も、全部いつも見てる風景だろ?同じだよ。」

京介は笑いながら言うと、宗一郎と共に教室を出て行った。
だが、玲奈だけは鉄板を見つめて首を傾げる。






「本当に、ここは常崎学園・・・・・?」