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Re: ─オーバーゲーム─特別編UP☆ ( No.29 )
日時: 2010/09/26 16:51
名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)

【11 ─B棟封鎖システム作動─】

B棟 2階 資料室


未だに資料室でビー玉を探している京介は、疲れ果てて座りこんでいた。
玲奈と宗一郎が行ってから早くも30分、この時間は京介にとって寂しい時だった。

「玲奈、宗一郎・・・・クリアしたかな・・・・」

京介はため息をつきながら、2人のことを想う。

「俺も頑張って、早く行こう。それに、謝んないとな・・・・」

京介はそう言うと、立ち上がって再びビー玉を探し始めた。
その直後だった。


 ウゥーーーーーー  ウゥーーーーーー


突如、スピーカーから大音量でサイレンが鳴り始めた。
サイレンはB棟全体に響き渡り、京介は音の大きさに圧倒され、耳を塞ぎながら倒れ込んだ。

「な、なんだ・・・・これ・・・・・」

サイレンは数秒間鳴り響き、やがて止まった。
すると、次に聞こえてきたのは女性の声だった。


『これより、A棟に引き続いてB棟を封鎖いたします。』


女性が喋り終わったと同時に、校舎と渡り廊下の繋ぎ目から鉄製のシャッターが降り始めた。
京介は耳から手を離し、スピーカーを見る。

「鳴り止んだのか?」

耳を塞いだせいで放送を聞き逃し、京介はB棟が封鎖されていることを知らない。
だがそのことは、すぐ知ることになった。


ガコン!!


「え?」

廊下から聞こえた音を不審に思い、京介は資料室を出た。
すると、渡り廊下がシャッターで遮断され、あちこちから生徒の悲鳴が聞こえ始めた。
耳を塞いでいたせいで理解できない京介は、呆然とシャッターを見つめる。


『ゲームオーバーの人数は218名。ビー玉は30個減りました。これで、ゲームクリア可能人数は40名です。』


「ゲーム・・・オーバー・・・・・?」


これら全ての出来事が、京介にとっては一瞬だった。
ゲームオーバーという言葉を聞いた途端、頭に玲奈の笑顔が思い浮かぶ。

「嘘だ・・・嘘だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

京介はシャッターに駆け寄り、シャッターを何度も叩く。
しかし、鉄製のシャッターはビクともしない。
京介は絶望を感じ、その場に崩れた。
すると、そんな京介に追い打ちをかけるような放送が聞こえ始めた。


『これよりSECOND STAGEに向けて、B棟を改良いたします。ゲームオーバーとなった218名の諸君、御機嫌よう。苦しみと絶望を感じず、安らかに死ぬことをお祈りいたします。』


放送がブツンと音を立ててと終わった。
と同時に、手洗い場とトイレの水道から、大量を水が出始めた。
水は瞬く間に廊下へと溢れだし、上の階を通じて下へと水は溜まっていく。
無論、窓を鉄板で塞がれているせいで、B棟は時間が経てば水で一杯になる。



例えれば、B棟は巨大な水槽と化してしまう。



京介は唖然となり、座ったまま天井を見上げる。
天井からも水がポタポタと落ち始めていた。
生徒の悲鳴、水の溢れる音、その音はどれも京介の耳に聞こえていなかった。



「もう・・・・・駄目だ・・・・・・」



京介はそう呟くと、静かに目を閉じた。