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Re: ─オーバーゲーム─特別編UP☆ ( No.31 )
日時: 2010/09/27 18:37
名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)

【12】

B棟


B棟が封鎖され5分が経とうとしていた。
着々と水は溜まっている。ゲームオーバーになった上、B棟にいる人間は死んでしまうのだ。
シャッターで閉ざされた渡り廊下の前に、京介は絶望の表情で座りこんでいる。

「玲奈・・・・告白したかったな・・・・・」

京介はそうつぶやくと、微笑しながら天井を見上げる。
天井から滴り落ちてくる水、水道からはジャバジャバと音を鳴らして、止まることなく溢れ出ていた。




「君、もう諦めたのか?」




「え?」




京介が天井を見上げていると、目の前に3人の生徒がいた。
どの生徒も3年生で、京介は首を傾げて立ち上がる。
そして、立ち上がった瞬間に思い出した。


「せ、生徒会!?」


「まだ終わらないぞ、道が一つだけある。」


常崎学園の生徒会長である桐嶋智は、濡れた髪を掻き上げながら言う。
智の両脇には、副会長の東雲晴香。書記の罪木耶麻。
2人ともずぶ濡れであり、どうやら1階から来た様子だ。

「でも、渡り廊下は封鎖されて、窓は全部塞がれてますよ。」

「ここがあるじゃないか。」

智はそう言いながら、京介の頭上を指さした。
京介が振り返ってみると、そこには普段目が付かない小さな通気口があった。

「で、でも、繋がってないでしょ?」

「俺は生徒会長だぞ?学校の構造も全て把握している。取り外すぞ。」

智は微笑みながら言うと、豪快に通気口の蓋を取り外し、水浸しとなった床に投げ捨てた。
通気口の幅は小さいが、高校生は軽々と入れる幅だ。


「行け!!急げ!!」


智の言葉に後押しされ、京介は通気口の中へと入る。
中は蒸し暑く、クモの巣もあり、不潔感が漂っていた。
後ろを振り返るスペースもない。ただ、京介は手を動かしながら前へと進む。

「はぁ・・・はぁ・・・玲奈・・・・宗一郎・・・・・・」

京介は頭の中に玲奈と宗一郎を思い浮かべ、懸命に前へと進む。
すると、微かだが目の前に光が見えてきた。
と同時に、京介にとって嬉しい物がそこにはあった。


「ビ、ビー玉だ!!!」


通気口の出口付近に、一個のビー玉が乏しく置いてある。
京介は力を振り絞り、通気口の出口までたどり着いた。
ビー玉を手に握ると、通気口の蓋を押し、どうにか取り外す。
そして、安全なC棟へとたどり着いた。

「やった・・・・やった・・・・・・・」

京介は通気口から飛び出し、廊下に着地する。
2階に人影はない。
京介は振り向き、通気口の中を覗きこむ。

「大丈夫ですか!!!!」

「ちょ、手を貸してくれない!?」

通気口から出てきたのは、副会長である東雲晴香であった。
晴香は手を伸ばし、京介は晴香の手を握って精一杯引っ張った。

「きゃっ!!」

晴香は着地に失敗するも、どうにか無事にここまで来れた。
京介は晴香に駆け寄り、ほかの2人のことを訪ねる。

「東雲先輩、会長と書記の先輩は!?」

「わ、分からない・・・・。ただ、会長が焦って私を先に行かせてくれたの・・・・・」

晴香はそう言いながら、両手を小刻みに揺らしていた。
どうやら、何かあったらしい。
だが、戻る余裕など2人にはない。

「とりあえず、体育館へ急ぎましょう!!東雲先輩はビー玉持ってますか?」

「う、うん・・・そうね、行きましょう・・・・」

晴香は立ち上がると、京介と共に体育館へと向かったのだった。
だが、この時京介達は気付いていなかった。




取り残された2人が









緊急事態に陥っていることを___________