ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─オーバーゲーム─13話までUP☆ ( No.32 )
日時: 2010/09/27 22:42
名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)

【13】

B棟 2階 渡り廊下前


とうとう、1階は水で溜まってしまい、2階への侵攻を始めていた。
そんな中、生徒会長の智は呆然とした顔つきで前を見ていた。

「麻耶・・・嘘だろ・・・・・」

智は膝からガクリと落ち、廊下に倒れる書記の罪木麻耶を見る。
麻耶はうつ伏せに倒れ、廊下に溜まり始めた水に大量の血が混ざり込む。
智は、突然起きた出来事に唖然としていた。
通気口へと晴香をやった瞬間だった。
銃声音もなく、何の前触れもなく、麻耶の心臓部分を銃弾が貫き、麻耶は即死した。

「くそ・・・誰だ・・・・」

銃弾が飛んできた方向は、明らかにこのフロアのどこからかだ。
智は目を凝らし、耳を澄まし、精神を研ぎ澄ませる。
すると、微かにだが、水を通じて足音が聞こえた。


パシャ・・・パシャ・・・・・


その足音は、段々と智に近づいてくる。
そして、足音は止んだ。

「どこだ?誰なんだ・・・?」

智は辺りを見渡しながら、後ろを振り返る。
その直後だった。



グサッ


「うっ・・・・・」


黒いスーツに、神々しい月の描かれた仮面をした何者かが立っていた。
その人物の片手には果物ナイフがあり、それは智の心臓部分を貫通していた。
心臓を貫かれた瞬間、智は目の前が暗くなり、そのまま息絶えた。


「まったく、まさかゲームオーバーから復帰するとは・・・・びっくりだな。」


その声は地声らしく、男性の声が仮面の下から聞こえた。
だが、どこか幼さを感じさせる声だった。

「2人か・・・まぁいい。」

男はそう言うと、果物ナイフを捨て、何処かへと行ってしまった。


───────


場所不明 モニタールーム


壁に埋め込まれた50個のモニター。
上下左右が分からないほどの真っ白な壁、窓はどこにもない。
そして、モニターの前には玉座の様な物に座っている謎の人物。
この部屋にある物、全てが謎であった。

「7(セヴン)、FIRST STAGEは終わりを迎えます。」


「・・・・・・」


「はっ!!後、ムーンがゲームオーバーのプレイヤーを2名殺害いたしました。」


玉座に座っている人物は、脇にいる太陽の模様が描かれた仮面をした男性に、小さな声で話しかける。
その声は、本当に小さく、聞こえないほどの小ささだった。

「では、SECOND STAGEの用意をいたします。後、あいつは大丈夫でしょうか?」

「・・・・・・・・。・・・・・?」

「はい。何かの拍子で××が戻れば、××は必ずあなたの元へきますよ。」


「・・・・。・・・・・・。・・・、・・・・・。」


「了解いたしました。緊急時に備えて、マーズとネプチューンを待機させておきます。では。」


男性は一礼すると、真っ白な部屋から出て行った。
一人残された謎の人物“7(セヴン)”は、モニターに映るある生徒を捉えていた。
それは、現在体育館に晴香と共に向かっている京介だった。


「・・・・・・」


7は小さな声で何かを呟くと、そのままモニターを見据えていた。
そして、FIRST STAGEの終わりが近づき始めていた。