ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─オーバーゲーム─キャスト更新☆ ( No.33 )
- 日時: 2010/09/28 19:44
- 名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)
【14】
体育館前
閉ざされた体育館の扉の前に来た京介と晴香は、装置を見つけて安堵の息を漏らした。
京介にとって、ここまで来る道のりがとても険しく、苦しかった。
その分、ゲームクリアを目の前にして、目から涙が出てきそうになった。
「君から良いよ、三谷君。」
「あ、ありがとうございます!!」
晴香に譲ってもらい、京介はビー玉を装置に入れた。
すると、装置から女性の声が聞こえ始めた。
「指紋認証中、指紋認証中。三谷京介、ゲームクリアを認めます。おめでとうございます。」
女性の言葉と共に、体育館の扉が開く。
その瞬間、京介の顔に思わず笑みが零れた。
京介は晴香に一礼すると、一足先に体育館の中へと入っていった。
───────
体育館
京介が体育館の中に入ると、そこにはチラホラと数十人の生徒が立っていたり座っていたりしていた。
どうやら、ゲームクリアをしているのはこれだけらしい。
100名生き残るはずが、たったの2ケタだ。
京介は周りを見渡しながら、宗一郎と玲奈の行方を捜す。
だが、どこにもいない。
「よぉ、やっとクリアしたか。」
京介は聞き覚えのある声に後ろを振り向く。
すると、そこには図書館で会った平田四門が立っていた。
四門はニヤニヤと笑いながら、京介の前に来る。
「お前、ほかの2人はどこだ?」
「今探している。お前には関係ないだろ。」
「・・・・・そうだな。まっ、精々頑張って探すこった。」
四門は不気味に微笑み鼻で笑うと、体育館の隅へと向かい、壁にもたれて座った。
京介は再び辺りを見渡すが、やはり2人の姿は見当たらない。
「なんでだ・・・どうしていない?」
いない。宗一郎と玲奈は確かに体育館にいないのだ。
先に行った筈なのに、2人はどこを探してもいなかった。
「よ、洋一郎!!!」
2人を探しているうちに、京介は同じクラスである洋一郎を見つけた。
洋一郎は床で寝ており、その脇にはアルジーが座っていた。
「おぅ、京介。クリアしたのか。」
「玲奈見なかった?先にクリアした筈なんだ・・・」
「山本か?見てねえぞ、なぁアルジー。」
「Yes。ボクたちが一番にクリアしまシタ。クリアシテきた人は全部覚えてマスよ。」
「そう言うことだ。見てねえぞ。」
2人の言葉を聞いた瞬間、京介の頭に不吉な予感が過った。
宗一郎と玲奈は、体育館に来る途中で何かに巻き込まれたのだ。
京介は再び、校舎へと戻ろうとした。
だが、目の前にある人物が立ちはだかった。
「どこへ行く気だい?」
京介の目の前に現れたのは、大渕を平気で殺した藍田当真だった。
当真は眼鏡を掛け直し、京介に歩み寄る。
「邪魔だ、藍田。」
「行かせないよ。テストで君とは五分五分なんだ。このゲームで勝利を決めたいと思ってる。」
「な!?ふざけんな!!!」
「死んだら困るんだ。それに、一度クリアしたプレイヤーはフィールドに戻れないだろ?」
当真の言葉に、京介は言葉を失った。
確かに、体育館の扉は外側の装置で動く仕掛けになっている筈だ。
内側から出れないだろう。
しかし、ここで思わぬ事が起こった。
なんと扉が開き、晴香が入ってきたのだ。
「どけ!!!」
京介はこの一瞬を見逃すまいと、当真を突き飛ばして校舎へと戻った。
当真は舌打ちをして立ち上がり、走っていく京介を見つめる。
「馬鹿が・・・・。」
当真はその言葉を口にすると、大きなため息をついた。