ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─オーバーゲーム─15話UP☆ ( No.38 )
- 日時: 2010/09/29 21:39
- 名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)
【15】
C棟
最早、ゆっくり探している時間などなかった。
ゲームクリアを果たした京介は、再び校舎へと戻り、玲奈と宗一郎を探し始めた。
A棟にB棟も封鎖され、2人がいるのは確実にC棟とと絞られていた。
だが、探す当てがない。
「三谷!!何してるんだ?」
京介が廊下にいると、1階から担任である志村が上がってきた。
志村の横には養護の宮本もおり、2人の手にはビー玉が握られている。
「ビー玉探してるなら、これやるぞ。」
「違うんです!!友達が、先にクリアしてる筈の友達がいないんですよ!!!」
京介は辺りを見渡しながら、とりあえず上の階へと目指した。
志村は京介に声をかけようとしたが、直接止めようと追いかけて行った。
「せ、先生!?」
1人残された宮本は、呆然と立ち尽くし、怪談を見つめるだけだった。
──────
3階
3階は閑散としており、京介は着いた瞬間に誰もいないと悟った。
一瞬絶望の表情になるが、諦めまいと上の階へと行こうとした。その時だった。
「待て!!三谷!!」
京介の右肩を、追いついた志村が掴み、京介を力づくで止めた。
京介は振り切ろうとしたが、大人の力には勝てずに志村を睨む。
「離してください!!時間が・・・時間がないんです!!!!」
「駄目だ!!友達のことは諦めろ!!!」
「い、いやだ!!玲奈は俺が助ける!!!」
京介は怒鳴りながら言うと、怪談の方へ振り向く。
だが、志村は京介の腹にパンチを喰らわし、意地でも止めようとする。
京介は腹を抱えながら、床へと倒れ込んだ。
「俺は担任であり、教師であり、大人だ。君は子供で生徒。俺はお前を意地でも助ける。」
「ぐっ・・・・・ん・・・?」
床に倒れた京介は、謎の音が聞こえていることに気付いた。
床を通じ、時計の様な音が無数聞こえる。
京介は立ち上がり、辺りを見渡した。
志村は首を傾げ、京介の異変に気付く。
「どうした?」
「なにか聞こえませんか・・・・こっちだ・・・」
京介は4階には上がらず、3階の廊下を歩いて行く。
時計の様な音が無数に聞こえ、その音は段々大きくなっていく。
志村も音が聞こえたらしく、京介と共に音を探る。
「ここだ。」
2人が止まったのは、3−1組の教室だった。
どうやら、音は中から聞こえる。
志村は京介の身の安全のため、先頭に立ち、ドアを静かに開ける。
そして、2人は教室の中を見た瞬間絶句した。
「れ、玲奈!!!宗一郎!!!!」
教室の中には、ガムテープで手足と口を塞がれ、椅子に固定された2人がいた。
だが、驚くべきところはその部分ではない。
2人の間に置かれた机の上に、銀色のケースが1つ。
ケースの表面にはデジタル時計が設置され、今も時間が進んでいる。
ケースからは夥しい数の色鮮やかなコードが飛び出し、素人では解除不能と一瞬で理解できる。
「玲奈!!」
「ん〜!!ん〜ん〜ん〜!!!!!」
京介は玲奈に近づき、ガムテープを外そうとした。
が、その直後にスピーカーから謎の放送が始まった。
『近づくな。2人を助けるのは不可能、助けるのは1人だけだ。』
スピーカーからは、聞き覚えのある声。
その声は、FIRST STAGEが始まった時にステージでルール説明をしていたムーンの声だ。
『究極の選択だ。幼馴染で愛しい彼女を取るか、ただ新しい友達を取るか。』
ムーンの声から、微かに嬉しがっている様子が分かる。
京介は2人の顔を見ると、呆然と立ち尽くしてしまった。
時間は5分足らず。のんびりしていれば、ここにいる4人がゲームオーバーだ。
「そんな・・・・・一体、どうすればいんだ・・・」