ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─オーバーゲーム─17UP☆ ( No.53 )
日時: 2010/10/16 10:30
名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)

【ゲームセット】

体育館


寝てしまった京介と玲奈は、洋一郎の声で目が覚めた。

「起きろ。」

2人が目を開けると、目の前には洋一郎が体育館を見ながら立っていた。
2人も立ち上がり、体育館の方を見ると、三日月が描かれた仮面をしたムーンが立っていた。


「FIRST STAGEをクリアした49名のプレイヤー諸君。まずは、おめでとう。」


ムーンのその言葉に、全員はザワザワと騒ぎ始めた。
たった49名しか生き残ってないことに、全員が驚きを隠せていない。
600名から49名まで減ったことに、京介と玲奈も呆然となった。


「長い時間動いて、疲れているだろう。当分睡眠や栄養を取って休養してくれ。」


「は?栄養って・・・・」


「この体育館の倉庫に用意されてある。では、御機嫌よう。」


ムーンはそう言い残すと、ステージの裏へと歩き去った。
体育館の倉庫に真っ先に向かったのは洋一郎だった。
洋一郎の後ろから、アルジーもついてくる。

「お!コーラに・・・弁当?色々あるぞ!!アルジー、出すぜ!!」

「Yes、分かりマシタ!!」

2人は食料が積まれてある長机を運び出し、体育館の真ん中に置いた。
49人だけでは食べきれないほどの量だ。
弁当の種類は全て違い、飲み物もペットボトルで多種多様な物がある。

「よし、均等に分けよう。」

長机の前に、職員であり大人で残った志村が前に立った。
更に、養護の先生である宮本も前に立つ。

「喧嘩せずに並んで、皆で食べよう。」

志村の言葉で、生徒たちは2列に並んで弁当と飲み物を受け取る。
ゲームクリアをしたプレイヤー49名は、一時の時間を楽しく過ごしたのだった。


────────


食事も終え、数時間が経った頃には、全員が眠りについていた。
堅い床の下だが、かなりの疲労で全員がぐっすりと寝ている。
そんな中、四門と行動を共にしていた歩夢は、目を開けて立ち上がった。

「・・・・何の音だ?」


カタン・・・・カタン・・・・・


歩夢の耳に、微かだが謎の音が聞こえる。
それは、ステージのどこからか聞こえる音だった。
だがステージに登ろうとすれば、FIRST STAGEで起こった惨劇の二の舞になる。
確か、ステージに登ろうとした男子生徒が、感電死したのだ。

「・・・今は、大丈夫だろ・・・・」

歩夢は足もとにある空のペットボトルを、ステージめがけて投げた。
すると、カランカランと音をあげてステージの上に転がった。
どうやら、電流は流れてないらしい。

「気になる・・・行こう・・・・・」

歩夢は眼鏡をかけ、恐る恐るステージに近づく。
試しに手を置くが、何も起こらない。
歩夢は大きく深呼吸をして一気に上へあがった。
謎の音は、体育館の裏から鳴ってるらしい。

「・・・え?」

歩夢はステージの横をふと見て、表情が唖然となった。
見たことのない真っ白なドアが、壁についているのだ。
歩夢は不思議に思いながらも、そのドアに近づく。
そして、取っ手に手をかけ、一気に開けた。





「あ、あ・・・あ・・・・・・・」






歩夢はドアの向こうを見た瞬間、口を開けて愕然とした表情で崩れ落ちた。

「嘘だ・・・・な、なんだここ・・・・・」

ドアの向こうは、見たことのない長い廊下がある。
赤い絨毯にホテルの様な雰囲気を漂わせるその廊下は、先が見えないほど延びている。
歩夢は脅えながらも、立ち上がってドアの向こうへと足を踏み入れた。





そして、彼が戻ってくることはなかったのだった。








FIRST STAGE ゲームセット_______