ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─オーバーゲーム─1話UP♪ ( No.69 )
- 日時: 2010/10/11 18:02
- 名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)
【02】
「おい!!大丈夫か!?」
「うっ・・・」
京介は、暑さと誰かの声で目が覚めた。
目を開けると、そこには志村と洋一郎の姿があった。
洋一郎は京介の頬をビンタすると、胸ぐらを掴んで大声をあげた。
「しっかりしろ!!まだ、始まったばかりだぞ!!!」
京介は洋一郎の怒鳴り声で、どうにか気を戻した。
志村は未だに気絶している玲奈を抱え、2人を見た。
「一旦戻ろう。作戦を練るんだ。時間制限でも後4時間半は時間がある。焦るな。」
志村の言葉で、京介と洋一郎も体育館へと戻ったのだった。
────────
体育館
生き残った48名全員が、戻ってきた京介と玲奈を見て騒然とした。
SECOND STAGEは、明らかにFIRST STAGEより過酷さを増している。
「30分で作戦を練るぞ。」
志村は教師という立場から、その場を仕切ることにした。
生徒全員が顔を見合わせて頷き、志村に注目する。
「A棟は60度を超える温度に、火炎放射気があちこちから襲いかかる。48人全員で行こうとすれば、死傷者は必ず出るだろう。だから、チームを作る。」
志村の言葉に、周りがざわつき始めた。
チーム分けという意外な作戦に、京介さえも驚いた。
だが、その考えが一番正しいと京介は感じる。
「チームは5人1組で8組作り、残りの8人はここで待機だ。」
「おい!!ふざけんな!!!」
志村がチーム分けをした途端、一番後ろから平田四門が怒鳴った。
四門は生徒を掻き分け歩き、後ろから菜々美が付いてくる。そして、四門は志村の前に来た。
「状況が悪化したのは、あの2人のせいだろう?ここは、2人に任せればいいじゃねか。」
「平田、全員で力を合わせるんだ。」
「綺麗事だな。ここは映画や漫画の世界じゃねぇ。生き残りをかけたゲームだ。他人に任せてゲームをクリアするぐらいなら、俺は自分の力で進む。」
四門はそう言うと、体育館の扉へと向かう。
後ろから付いて来た菜々美は、四門の言葉を聞いて呆然としている。
志村はため息をつき、四門の肩を掴んで止めようとした。
その直後だった。
「うっとおしいんだよ!!!!」
四門は目に見えぬほどのスピードで、志村の顔面にパンチを入れようとした。
だが、志村は軽々とパンチを避けて四門の腹にパンチを何度も喰らわした。
「うっ・・・・おまっ・・・・」
「数学の先生だから、甘く見たか?」
「何者・・・だ・・・・・」
四門はそう言うと、ガクリと気絶してしまった。
志村の行動に全員が唖然とし、その場の空気がピタリと止まった。
そしてこの時、京介は志村の異変に気付いた。
「志村先生、右腕が変だ・・・・」
京介は、志村がパンチした拍子でシャツから見えた右腕を見て、不審に感じた。
なぜか、志村の右腕から人間の気配がしない。
京介は首を傾げて考えようとしたが、ここは現在の状況を考えることにした。
「平田の様子を見ていてください。」
「分かりました・・・・」
養護である宮本は、倒れた平田に駆け寄る。
志村は再び全員を見ると、ある一言を言った。
「協力しないと、絶対にクリアできない。」