ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─オーバーゲーム FIRST STAGE─2話UP ( No.7 )
日時: 2010/09/21 21:05
名前: 鷹の目 (ID: U3CBWc3a)

【02】


A棟


体育館から一番離れたこの棟に、黒部洋一郎は誰よりも早く着いていた。

「ったく・・・ビー玉なんか、誰かの奪って戻ればいいか。」

洋一郎はツンツンの金髪を整えながら、自身の教室である1−1に入った。
無論、1組のクラスにはだれもいない。
はずだった。

「あ?誰だ、あんた?」

洋一郎がクラスに入ると、教卓の上に座る謎の男子生徒がいた。
ショートヘアーの青い髪に、左目には眼帯をつけていた。

「オー!!やっと、Classmateに会うことができました!!」

外国交じりに喋るその男子生徒は、教卓から降りると洋一郎に駆け寄った。
洋一郎は、男子生徒が外国人だと知ると、目を丸くして唖然とする。

「この度は常崎schoolに転入してきた、アルジー・ローランドでぇーす!」

「お、おう・・・。俺は黒部洋一郎・・・・。」

「nice to meat you。」

「な、ないす みー・・・」



・・・・・・・・・



─────

一方 B棟 


B棟の廊下、教室は他の生徒により散らかっていた。
全員はビー玉を探すことで必死になり、最早生徒と職員の関係は壊れていた。
そんな中、すでに荒れ果てた音楽室にやってきた1人の男子生徒。

「まったく、凡人ばかりだね。」

黒ぶち眼鏡をかけ、天然パーマの藍田当真は音楽室を見渡しながら言った。
床には、撥が散乱し、ピアノや木琴、鉄琴は無残に破壊されている。
当真はため息をつきながら、音楽室の中心へと来る。

「馬鹿が荒らしたお陰で、ビー玉を探しやすくなった。」

当真は360度見渡すと、唯一荒らされていない黒板に近づく。
黒板消しの下、クリーナーを調べるがビー玉はない。
黒板の下に設置されてある、チョーク入れを開けてみた。
すると、そこには1個のビー玉がチョークに紛れて入っていた。

「簡単だね。こんなところに・・・・」


「と、当真君!!!!」


「ん?やぁ、大渕君か。」

当真の後ろに、息を荒げて立っていた大渕隆。
大渕は当真の持つビー玉を見ると、鬼の形相で睨みつけてきた。


「お、俺は絶対にクリアする・・・だがら、そのビー玉をよこせぇぇぇぇ!!!!!!」


大渕は大声を上げながら、覚束ない足で当真に向かってくる。
そんな大渕とは違い、当真は床に落ちていた撥を手に取ると、向かってきた大渕の心臓に突き刺した。
大渕は鬼の形相から一変し、目から涙を流して我に戻った。

「うっ・・・・あ・・・・・・」

大渕は床に倒れ込むと、力を振り絞って当真を見上げる。
当真は持っていた撥を投げ捨てると、ビー玉を胸ポケットに直し込む。
そして、大渕を一度も見ることなく音楽室を出て行った。


「当真・・・・なん・・・で・・・・・・」


大渕はその言葉を最後に、ピクリとも動かなくなった。




開始から20分




1名 死亡________