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Re: ─オーバーゲーム─3話UP♪ ( No.72 )
日時: 2010/10/12 17:17
名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)

【03】

志村の提案通り、チーム分けでSECOND STAGEを進むことになった。
京介は玲奈、洋一郎、アルジー、東雲晴香。
8チームすべてに必ず3年生が導入され、京介のチームには生徒会副会長である晴香が来た。

「東雲先輩、会長のことは・・・・」

「気にしないで。会長と罪木の分も、私は頑張るつもりだから。」

晴香は笑顔でそう言うと、京介の肩に手を置いた。

「必ず、クリアしようね。」

「はい!!」

晴香の笑顔で、俄然やる気が出た京介は、玲奈を除いた3人を見る。
洋一郎とアルジーは力強く頷き、晴香も大きく頷いた。
京介も頷くと、体育館からC棟へと突入したのだった。


───────


C棟


壁からは火炎噴射、60度を超えたC棟の暑さで、4人はすでに汗をかいていた。
京介は猛烈なスピードで噴き出す火炎放射を避け、再びシャッター前に来た。
シャッターは未だに堅く閉ざされている。

「京介、シャッターの開く方法は?」

「分からないけど、ヒントがあるなら近くの筈だ。」

京介は天井や壁を見渡す。しかし、別に不思議な場所などない。
アルジーや晴香も辺りを詮索しているが、特に変わった物は見つけていない。

「ヒントがない・・・シャッターの開く方法・・・・・・」




「分かったわ。」




京介が悩んでいると、晴香が微笑みながら3人を見た。
全員は首を傾げ、アルジーが晴香に質問する。

「どういうことデスカ?」

「恐らく、シャッターの開閉は手動ね。手で開けるの。その方法は、勿論試してないよね?」

「は、はい。こんな高温な場所で鉄製のシャッターに触ったら・・・・・」

京介はシャッターの方を見て、シャッターの下部分にもう一度注目した。
すると、少しだが小さな手を入れるスペースがあった。
だが、60度を超えたこの場所で、鉄製のシャッターに触れば火傷では済まない。

「誰が、開ける?」

「このスペースに何か突っ込んで、梃子の原理で持ち上げれば・・・・」



「・・・・私が・・・やるよ。」



晴香はそう言うと、シャッターの前まで来てしゃがみ込んだ。
京介は晴香の行動に驚き、思わず手首を掴んで止めようとした。

「なんで!?もう少し考えましょうよ!!!!」

「今回は時間制限があるのよ。ただでさえ、時間を使いすぎてる。私がやるわ。」

「俺が変わってやる。女の力じゃ上げれねえだろ?」

「こう見えても、私は力持ちの副会長。開けたら、さっさと行きなさい。」

晴香は京介の方を向いて、笑顔で口を開けた。



「私や会長、生徒会の意思を持って、必ずクリアしてね。」



晴香はその言葉を最後に、シャッターに空いたスペースに手を突っ込んだ。

「生徒会・・・・なめんなぁぁぁぁぁ!!!!!!」

そして、シャッターを力一杯上に持ち上げる。
その瞬間だった。


ザバァァァァァン!!!!!!!


B棟に溜まっていた水が、シャッターが開いた瞬間に一気に入り込んできた。
洋一郎とアルジーは水の圧力に耐え、どうにかシャッターの向こう側に行った。
京介も行こうとしたが、最後に晴香の方を向く。

「東雲先輩、ありがとう。」


「ば・・・い・・ばい・・・・・」


晴香の両手はこの時、すでに筋肉がむき出しになって見るも無残な状態だった。
晴香は京介に作り笑いをして、京介を見届けた。
そして、京介が行ったのを確認すると、晴香は水の圧力に負け、そのままどこかへと流されて行った。
シャッターは閉じることなく、開いて行く。


「会長・・・罪木・・・・今行くよ・・・・・・」


水の激しい音とシャッターの開音が鳴り響く中、生徒会副会長の東雲晴香は、笑顔で水の中へと消えた。