ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─オーバーゲーム─3話UP♪ ( No.75 )
日時: 2010/10/13 17:54
名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)

【04】

B棟 “水の間”


京介、洋一郎、アルジーの3人は、B棟に入った瞬間に窮地に追い込まれた。
B棟に溜まっていた大量の水が、シャッターが開いたことにより3人に襲いかかったのだ。
水圧は予想を遥かに超え、3人は壁を伝わりながら懸命に前へと進む。

「き、京介!!どうすれいいんだ!?」

「ゴボッ!!とりあえず、早くA棟に向かうのが安全なルートだ!!」

京介は壁にしがみ付き、水の音に負けないぐらいの大きな声を出す。
アルジーは窓枠に掴み、器用に前へと進んで行く。
洋一郎と京介は手を取り合い、協力してどうにかB棟2階の廊下へと着いた。

「これからどうしまスカ?」

「・・・・ここまで来たら残り時間も分からねえ。さっさと前へ進もう。」

「だが、A棟のシャッターはどうすれば開くと思う?」

京介は2階にあるA棟を繋ぐ渡り廊下を塞いだシャッターに指を指した。
無論、今回は手動の筈がない。
京介は水の中を進み、一応シャッターの前へと来た。
シャッターに怪しいところがないか詮索するが、まったく怪しい部分はない。

「京介、今回はこの棟のどこかにシャッターを開く‘何か’があるはずだ。」

「その可能性が高いデスね・・・。分かれて探した方が早いのデハ?」

「そうだな・・・・。じゃあ、俺は4階を探す。洋一郎は3階。・・・・そういえば、名前は?」

「私はアルジー・ローランド。転校生デス。」

「そうなんだ、よろしく。じゃあ、アルジーは2階だ。」

京介の指示通り、3人はそれぞれの階へと目指し始めた。


────────


体育館


B棟を塞ぐシャッターが開いたことを知った志村は、残りの44名のプレイヤーに呼びかけた。

「これから選ばれたメンバーでC棟を突っ切るぞ!!B棟にいる仲間を助けるんだ。」

志村の言葉に、全員は頷く。
そして、5名の男女が出てきた。1年生4人に3年生1人だ。
1年生の中には、木上院明日香と朝場瑠夏がいた。

「瑠夏、もし私が怪我をしたらあなたのせいよ。」

「・・・・分かりました。」

「私だけを守りなさい。身を呈してもね・・・」

明日香は不気味に笑い、瑠夏は心の中で明日香を恨む。
そんな2人を樋口太陽は、苦笑いをしながら見ていた。
だが、太陽の隣にいる摂津希世志は、無表情で腕を組んでいる。
左目の眼帯を時折直し、ダルそうに髪を掻いていた。

「それなら行くぞ。斉藤、3年生として4人を守ってくれよ。」

「分かりました。」

斉藤悠馬は振り返り、4人の顔をじっくりと見つめる。
悠馬は全員の顔と名前を覚え、志村の方へ向き直った。



「それでは、これよりB棟に向かう。A棟はまだ灼熱地獄だから、油断はするな。」



志村はそう言うと、5人を引き連れてB棟へと向かうのだった。
だが、志村はこの時気付いていなかった。
この5人の中に、



“悪”が潜んでいることを________