ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─オーバーゲーム─参照1000突破♪ ( No.84 )
- 日時: 2010/10/15 20:01
- 名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)
【07】
四門から逃げた京介は、5階から3階へと一気に下りていた。
しかし、ここで新たな事態が発生してしまった。
「なっ!?う、嘘だろ!?」
先ほどまで引いた筈の水が、何故か3階を満たしていた。
ということは、2階と3階を詮索している洋一郎とアルジーは・・・・。
京介の体に鳥肌が経ち、思わず溜まった水を見つめる。
2階ならまだしも、3階まで満たされたらシャッターへの道が遠くなってしまう。
「やばい・・・・やばい・・・・・・・」
時間もかなり過ぎた筈と思い、京介に焦りの表情が見えてきた。
京介はとりあえず、4階へと戻って辺りを見渡した。
しかし、人の気配はない。5階に戻れば、再び四門に鉢合せする可能性もある。
京介が呆然となった次の瞬間だった。
『1時間経過しました。これより、各間のトラップを作動させます。』
スピーカーから聞こえる女性の声に、京介は驚いて肩を動かす。
女性の声と共に、B棟のあちこちから謎の機械音や謎の物音が聞こえ始める。
「な、なんだよ・・・・・」
京介に孤独感と不安さが襲いかかり、足が動こうとしない。
そして、京介はそのまま立ち往生してしまうことになってしまった。
────────
C棟 ‘炎の間’
未だに、C棟には5人だけが残っていた。
2年生である白条千草は、後ろにいる男女4人の1年生を引き連れて渡り廊下を目指していた。
「みんな、私にちゃんと着いてきてね。」
千草の言葉に、素直に頷いて4人はついてくる。
だが、その直後だった。
『1時間経過しました。これより、各間のトラップを作動させます。』
スピーカーから聞こえる女性の声と共に、突如壁から謎の筒状の機械が飛び出す。
近くに立っていた男子生徒は不審に思い、筒状の機械に開いた穴を覗きこむ。
「ちょっと、優太危ないよ・・・・」
「大丈夫だよ。」
1年生の久熊優太は、同じクラスメイトである双葉未子の注意を振り切って覗き込む。
その時だった。
ボォォォォォォ!!!!!!!
1000度を軽く超す炎が、筒状の機械に開いた穴から勢いよく噴射された。
間近にいた優太は、悲鳴を上げる間もなく顔に直撃し、身体に火が付いた。
「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
偶然近くに立っていた未子とは違う女子生徒も炎を喰らい、右手に火が引火する。
未子と千草、オタクな雰囲気を漂わせている本城暗助は、目を丸くして愕然としていた。
無論、火を消せるような物は持っている筈がない。
「あ、あづいぃぃぃ!!!!!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
女子生徒は床を転げ回り、奇声を上げながら立ちあがって、どこかへ走っていった。
現実離れした光景に3人は呆然とし、思わずその女子生徒を追いかけた。
「待って!!止まりなさい!!!」
千草は設置された消火器を手にし、女子生徒へと向かうとしたが、女子生徒はかなり遠くにある階段の踊り場にいた。
しかし、更なる悪夢が3人を襲いかかった。
ゴォォォォォォオォォォォォォォォ!!!!!!!
階段の踊り場が、炎の波に一瞬で飲み込まれた。
もちろん、女子生徒も一瞬で炎の波の中へと消えた。
千草は持っていた消火器を床に落とし、近くにあったある部屋を指さした。
「あの部屋に向かって!!!早く!!!!」
千草が指さした場所は、普段は一般生徒が入れない空調調整室だった。
3人は炎の波が到達する前に、急いでその中へと駆け込んで鍵を閉めた。
そしてその瞬間に、3人は感じたことのない暑さに襲われたのであった。